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幸せの探し方①

2011.04.17.17:04

1話(K)無防備少女卒業




「京子ちゃん、この後ちょっと時間ある?」

 トーク番組の収録を終え、スタッフ達が撤収のため慌ただしく立ち動く中、一人の男が少女を呼びとめた。

 少女はトーク番組の収録を終え、関係者に挨拶を済ませていたキョーコ。男は共演者の一人で、バラエティー番組を中心に活躍する若手タレントだ。

 気安げに声をかけてきた男に、キョーコは相手に向き直りながら気づかれないよう、素早く男の表情、目の奥を探り、その結果導き出した返答をした。

「も、申し訳ありません~! この後事務所に寄るように言われているのですが・・・」

 何か御用でしたか!? と、申し訳なさそうな、戸惑うような顔に、窺うように相手を見上げる仕草は、男性タレントの庇護欲を大いにそそった。

 邪気など一切感じさせないその様子に女の計算が働いているなどと誰が想うだろうか。

「あ、そうなの? でも話はすぐ終わるからさ! 今日のトークで駅前のおすすめスイーツの話してたでしょ? オレも甘いもの好きで興味あるんだよね。京子ちゃんにぜひ連れて行って欲しいなって・・・あっ都合いい時でいいから!! 連絡先、教えて!」

 キョーコは表には一切表さないまでも、内心ため息を吐いていた。

 それでも少女は“都合のよい時でいい”と相手を気遣うように言いながら、キョーコに案内させることを前提に話す男の強引さに気付かないふりをして、一分の隙もない演技をする。

 彼女の内心は口から零れるうろたえたセリフに反して落ち着いていた。

「あの、本当にすみません! 後輩の分際で先輩からの依頼をお断りするのは大変心苦しいのですが、携帯電話は事務所からの借りものですし、異性を含むグループとみだりに出かけないように指導されているんです! そういうわけですので、大変申し訳ありませんがお店へのご案内はできません、ごめんなさい!!」

 キョーコはぺこぺこと頭を下げ答えると、1枚のカードを取りだし、男性に向けて差し出した。

 全身から伝わるその申し訳なさ全開の態度が、もしも計算づくであると知ったなら目の前の男、いや、彼女を知る周囲の人間たちはどれほど驚くことだろう。

「その代わりと言っては何ですが、これをどうぞ。」

 男は断られるにしても予想外の立て板に水のキョーコの返答に、若干ぽかんとしていたが、差し出されたカードを見るや、礼を言いながら受け取った。

 キョーコは相手の注意がカードに逸れた隙に暇を告げ、幼少の頃より培われた仲居技術でごく自然にその場を辞した。



 そして

 事務所の携帯は教えられない・・・と言うことは、これは京子のプライベートな連絡先だろうか?

 そんな事を考え、手元を覗き込んだ男の手の中には洋菓子店の案内カードが収まっていたのである。



 § § §



「というわけなのよぅ、モー子さーーーん」

「あ、そう。いいじゃない別に。適当にあしらったんでしょ」

 ラブミー部の部室。キョーコと奏江の二人きりの室内で、盛大に嘆きながら愚痴をこぼす者が一人。相槌は適当ながらも、しっかり愚痴を聞いてやっている者が一人。

 言わずもがな、前者が最上キョーコ、後者が琴南奏江である。
嘆くキョーコに奏江は至って冷たい。

「でも今月に入って4度目なのよ!? まだ今月って半分も過ぎてないじゃないのよーーーー!!」

 キョーコは頭を抱えた。

 しかし奏江は気にしない。芸能人として人一倍外見には気を使わなければいけない自分たちだ。

 その磨かれた容姿に寄ってくるバカ共の相手も非常に面倒かつ不愉快ではあるが、ある程度仕方のないことである。

 それにむしろ奏江にはナンパうんぬんよりも気になることがあった。

「それよりあんた何だって収録直後にそんなカード持ってたのよ。楽屋に戻る前だったんでしょ?」

 そう、基本的に収録に余計なものは持ち込まないし、放映時には編集で地図や実際の店の写真などが紹介されるから、そんな小道具は持ってくる必要などない筈である。その事が奏江には何となく引っかかったのだ。

 訝しげに自分を見る相手に対し、キョーコは何でもない事のように答えた。

「その日の収録の話題から絡まれそうなのってそれだけだったから準備しておいただけよ?」

 別に不思議じゃないでしょう? と言うようなキョーコの返答に、更なる違和を感じ、奏江の眉間に皺が寄った。

(まさか、この子・・・・いやいや、ありえないでしょう。)

 先のキョーコの発言に整合性のある答えは出ている。しかし、その答えはこの最上キョーコに限っては『ありえない』部類の答えだった。だから彼女は目を眇めながらキョーコに訊いた。

「ねぇ、あんた何で自分が絡まれるのか分かってる?」

 その問いにキョーコひどく言いづらそうにした。彼女にはしては珍しいことに、行儀悪く手元の湯飲みを遊ばせている。

「私の厚かましいまでの自意識過剰でなければ、私に異性としてのご興味をお持ちになったから、よね?」

 奏江の様子を窺い窺い言うキョーコに、奏江は唖然として女優にあるまじき顔で固まってしまった。

 そんな奏江に慌てたのはキョーコである。直前の発言を消し去ろうとでも言うように、真っ赤になって必死に手を振った。

「いやーーーーーーー!!! 今の無し無し!! 忘れて!! こんな勘違い女だからって――――」

 親友やめるなんて言わないでえぇぇぇーーー、と続けられるはずの言葉がキョーコから零れることはなかった。

 奏江が鬼気迫る形相でラブミー部員1号の両肩をがっしと掴み揺さぶる。

「ちょっとあんたいつの間に壊死した恋愛回路復活させたのよ!!!!?」

 奏江の衝撃は計り知れなかった。

(今まで軽いものから重いもの、ソフトなものからハードなもの、あるいはノーマルの頭にアブを付けるようなものまであらゆる色恋沙汰をスルーし、曲解し、撥ね退けてきたこの子が!! 天然だか無意識だかであらゆる男どもをなぎ倒してきたこの子が!!!!!?)

(今は意識的に男を躱している!!! 役でも何でもなく、素で!!!)


「どぉーーーーーーいうことなのよーーーーーーーー!!?」


 愛の欠落者に与えられたラブミー部部室にて、部員2号、叫ぶ。






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2011/4/17 投稿
2011/4/19 誤字修正
2012/1/8  リメイク


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Author:常葉(トキワ)

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