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追いたくなる恋のサガ③

2011.12.13.21:00


1万ヒット記念フリー小説☆第2段






 追いたくなる恋のサガ/後半戦


 (Side:蓮)

 毎日のように続いていた彼女の告白がピタリと止んだ。

 最初の内は彼女も最近忙しくなってきたから、流石に連日はムリだよな、と考えていた。

 それから更に数日が過ぎると、やはり今までのことはラブミー部としての指令で、指令のノルマをクリアしたか、期限が過ぎたのだと思った。

 そのくせ、会えなければ会えない程に、告白を繰り返す彼女の顔が脳裏を過り、その真っ直ぐな視線を、潜む小さな恥じらいを、俺にまざまざと思い出させた。

 君は本気だった?それとも悪意のない罠だった?

 問い掛けたくても、君は来ない。



 そんな時、彼女を見つけた。

 それは偶然などではなく、ずっと彼女と接触する機会を探して俺が動向を探っていたからだ。
 スケジュールがどうにも合わず焦る中、今日、事務所に行く時間帯が彼女と被ることが分かった。

 彼女を見つけ、すぐに声をかけようとする。何を言いたいのかも自分自身で分からないままに、それでも、身を焦がし、急かす心の悲鳴に逆らえないまま。

 しかし・・・・・・・

 最上さん?

 全く、あの子は・・・・・・。


 彼女の隣を一人の男性が歩いていた。名前は分からないが、顔は見たことがある気がする。バラエティ関係の芸能人だった筈だ。

 が、今はそんな情報はどうでもいい。問題は、彼らが二人きりで人気のない場所に向かっている、と言うことだ。

 そんな使われていない資料室がある方に、一体何の用があるというのか。

 相手の男は如何にも人がよさそうであるし、身長も体格も彼女と大きく変わる物ではない。

 しかし男は男だ。あんな風に二人きりで人気のない場所に向かうなど危機感が足りなさすぎる。

 そんな彼女に対する説教じみた思考をするのは・・・・男を親しげに『光さん』と呼ぶ彼女の様子に動揺していたからなのかもしれない。

 気がつけば二人は視界から消えており、俺は慌てて二人の後を追った。



「…―――――…んだ!!ずっと前から!!」

 聞こえたのは男の叫ぶような声だった。

 相手の男は興奮しているのかもしれない。まずいと思い、急いで近寄ろうとするが、男は思いのほかシャイだったようだ。

 最初の叫びは単なる勢いだったらしい。俺は曲がり角の影からそっと様子を窺った。

「その、・・・初めてあった時から、キョーコちゃんのこといいなって思ってて、知れば知るほどどんどん好きになって・・・。もう、見ているだけなんて出来なくなって・・・それで・・・」

 ひゅっと、喉が鳴る。満ちた感情は何だったのか。

「彼女は渡さない・・・っ!!」

 気が付いた時には動いていた。動かざるを得なかった。彼の告白に頬を染め、心揺さぶられている彼女をまざまざと見せつけられてしまったのなら。

(ふざけるな・・・っ!!)

 ここ最近、形を潜めていた激しく燃えたぎる黒い感情が噴出してくる。

 愛を拒絶する彼女が、あんな顔を晒すなんて・・・。

 まるで、まるで・・・・?

 そう、俺に・・・・告白してきていた時のように?

 あの最上さんの繰り返される告白は、ラブミー部のミッションでも何でもなく、シミュレーション・・・・・?

 今、彼女と向かい合っている男に告白するために、どんなものが最も効果的か試すための。


 突然現れ告白の邪魔をした俺にか、あるいは一瞬で出来上がった修羅場にか、茫然とした様子の最上さんとは対照的に、男の方はすぐさま驚きの色を消し去ると、キッと強い瞳でこちらを睨んできた。

 束縛するように、彼女を背後から抱きしめる俺へと。

「敦賀さん・・・すみません。敦賀さんは先輩ですが、俺、これから生意気なこと言います」

 殊勝な言葉に反し、彼の瞳には俺に対する敵意と軽蔑が込められていた。

「『彼女は渡さない』と仰いましたが、貴方は何の権利があって彼女を縛るんですか?俺、偶々ですけど・・・・見たんです。敦賀さんがキョーコちゃんの告白をあしらってるの。それって振っているのと同じですよね?・・・と言うより、真剣な告白を向き合おうともしないであしらうなんて、振るよりもひどいですよね。それも一度きりのことじゃない、二度も見ているんです・・・と言うことは実際はもっとたくさん彼女から想いを告げられているんでしょう?公共の場ですからそりゃ、直接的な言葉ではありませんでしたけど、敦賀さん程の人なら本気かどうかなんてわかるでしょう?」

 強く説得力さえ感じさせる言葉は、彼が“しゃべり”を仕事にしているからなのだろうか。

 違う、それが全て正真正銘の事実だからだ。彼はなおも続けた。

「彼女は確かに貴方のことが好きだったかもしれない。今も貴方を想っているかもしれない。でも敦賀さんは彼女を拒絶したんですよ。キョーコちゃんが貴方のことを忘れるために俺を選んだとして、貴方がどうこう言う筋合いなんてあるんですか?」

 あるわけがない、と・・・・彼はそう言いたいわけだ。

 口元が引きつりそうになる。だが、俺は役者だ。
 ふっ、と馬鹿にしたように口元を歪めて見せた。

「君は、君が彼女のことが好きだから、俺と彼女の関係に口を出してるわけだ?」

 声が震えることはなかった。動揺よりも、遥かに強い感情が心を満たしていた。

「俺は、何もそんなつもりじゃ・・・」

「そう言うことだろう?」

 先に口を出したのは自分にも拘らず、然も相手に非があるように言う。意図せずとも、彼は俺と彼女のことを口実にあげてしまった。屁理屈を理屈にすり替えることなど容易い。

「それなら俺にも君と彼女の関係に口を出す権利があるんじゃないか?

―――――――…俺は、彼女を愛しているんだから」

 腕の中の身体が揺れたことも、男が戸惑うように目を見開いたことも無視して彼女の手を引いて走った。彼から逃げ出すように。

 否、実際に逃げ出したのだ。彼の言うことはあまりにも正しかった。俺に彼女が誰を選ぶのか口を出す権利などありはしないのだ。

 だから言い逃げだろうと無様だろうと、敦賀蓮にあるまじき、だろうと・・・彼とぶつかり合うことなど出来なかった。
 ・・・・・そして、自分が手を引く人の顔を見ることも。


 
 一切の声を発することなく男二人のやり取りを見ていた彼女は、一体どんな表情でいるのだろう。




 けれど、そう、今はどうか・・・・君が俺に与えてくれた勇気を・・・・・。


 人の気配がないことを見越して、手近にあった資料室へ飛び込む瞬間、ぐっと閉じた瞼の裏に覚悟を決める。

「最上、さん?」

 扉が閉じた瞬間と、ドンッと彼女が俺にぶつかって、いや、抱きついてきたのは同時だった。繋いだ手をそのままに、もう一方の手が俺の背に回り、こちらを見上げる。

「さっきの、本当ですか?」

 湿った声と同じように、その瞳も濡れていた。

 答えなんて決まっている。その表情の意味が脳に届くよりも先に、伝えなければいけない言葉がある。

「俺は、・・・君が好きなんだ・・・」

 君がいないと息も出来ない。その癖、傷つくのを恐れて君を突き放す。そんな、情けないやつだけど、それでもたった一人、この少女だけを愛してしまった。

 彼女が笑った。

「ずっと、待っていたんですよ?待ち過ぎて、うっかり他の人に靡いちゃうところでした」

 花よりも雨の似合う、そんな微笑み。

 喜びよりも、憂いと切なさ、そして哀しみが湧きおこる。

 何度も繰り返された告白の、強気な態度のその裏で、一体何を思っていたのだろう。
 繰り返した告白をやめた時、どんな思いでいたのだろう。
 『待っていた』と言った、その時間、彼女はどれほど苦しかったのか。

 学習だとか何だとか、自分自身が傷つくことから逃げ出して、彼女を傷つける可能性から目を背けていた。

「ごめん、ごめんね・・・・それでも君を放せない。たとえ、そんな時が来たとしても・・・」

 他の男にさらわれていく可能性を示唆する君。

 間に合ったことを、君の抱擁が教えてくれるけれど、きっと手遅れだったとしても、俺は・・・・・。

「君はラブミー部員で、愛を拒絶していて、だから、何もかも幻想だと思っていたんだ・・・・・。俺の願望が見せる、甘い夢なんだって・・・・、期待して、自分が傷つくのを恐れて・・・」

 本当に、ごめん。君が好きになってくれた男は、凶暴で、我儘で、そのうえ自分自身のことしか考えられない、大切にしたいものを大切にする仕方も知らない。

 年ばかりとって、形ばかりでかくなって―――――――――

 君に釣り合うはずもない、そんな男なんだ。

「でも、ちゃんと覚えるから。・・・・・・君を笑顔にする言葉も、優しい手の握り方も・・・っ」

 強く握りすぎていたその手を優しく握りなおすと、彼女の指がそっと絡んできた。

 ・・・・・君を守りたい。君を守れる男になりたい。いつか言った言葉は絶対に、嘘じゃない。

 彼女から伝染したように、俺の声も今にも泣きそうに濡れている。それでも、無様なのは今更のことで、失う矜持など無いから、貰ってばかりだった気持ちを少しでもかえしたかった。


 彼女の口がへの字に曲がって、ふるふると揺れる。嗚咽を堪えるように、喉がきゅうぅ、っと音をたてた。

 すう度、はくはくと口を開閉し、掠れるような声を漏らす。

 それは、幼い子供が泣きじゃくりながら言葉を発するのによく、似ていた。


「わ、たしもっ、覚えます。だから、二人で考えましょう?一方通行じゃない、恋の仕方・・・・・・」


 目と目が合い、俺たちは笑った。


 相手の気持ちを信じることができなかった。行動のその意味を、理解するのが怖かった。
 傷つくこと信じることに臆病な者同士、疑って、疑われて、そんな事を繰り返していた筈なのに。


 こんなにも自分たちの顔は分かりやすいではないか。

 顔に書いてある。

 『貴方のことが大好きです』と。





 ずっと追ったり追われたり、追いかけっこの恋だった。

 でもこの先はゆっくりと歩いて行く。

 隣を歩むその人と、繋いだ手が離れてしまわないように・・・・。




(了)




2011/12/12 常葉




リク内容は↓を合わせて消化させて頂きました。1話目の“こめでぃていすと”を裏切るまさかのしっとり〆でしたが、それはともかく、リクに応えられているかどうか・・・。

●蓮の気持ち(自分は蓮に大切にされているんだ、など)を曲解思考なしに正確に理解するキョーコ

●“蓮様とキョーコちゃんの立場入れ替え” キョーコちゃんが蓮様を好きで落とそうと狙ってて、蓮様はそれをかわす

●光くん(もしくは真面目にキョーコを好きな感じのオリキャラ)といい雰囲気(告白されたり褒められたりしてテレテレ笑顔)のキョーコを知って焦る蓮

●ベターに両片想いが実って両想いになる



どっとはらい



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Author:常葉(トキワ)

どうぞごゆるりとお楽しみ下さいませ。
度々細かな変更はありますが、温かく見守って頂けると幸いです。

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