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5.君が呼んでいる気がして

2012.02.12.06:00

(改)



 (Side:クオン)

人を待っていた。あの茂みの向こう側からやってくる女の子を。

まだか、まだかと思い待つこの時間がもどかしい。
違う。不安だった。

キョーコちゃんが来ることを確信している感情と、“もう会えない”と言った己を罵る理性との狭間で、それでも、待たないわけにはいかなくて。

当然だ。キョーコちゃんが呼んでいるのだから。

風が吹き、木々の枝葉を揺らす。太陽に照りつけられた水面はキラキラと擬音を奏でそうな程。

大人になった妖精は日本の夏の暑さなどものともしないけれど、それでも待ち続けるのは辛かった。体ではなく、心が苦しかった。

幼い頃は、この気候に体調を崩してキョーコちゃんに看病してもらったな、と当時のことを思い返す。
妖精が暑さにやられるなんて情けないと思いながらも、心配してくれたキョーコちゃんに何故か喜びを感じた覚えがあった。



その時、ずっと意識を向けていた方角からガサガサと音がした。

ああ、ようやく来た。

「こんにちは、キョーコちゃん」

「…―――――…コーンっ!!!」

すっかり大きくなったキョーコちゃんは、青い石を握って現れた。
一段と可愛らしさを増した笑顔で再会を喜び、それから大泣きしてしまった。

キョーコちゃんは相変わらず泣き虫みたいだ。でも、俺と会えた事をこんなに喜んでくれるなんて、泣かせてしまったのに、どうしようもなく嬉しい。

「コーン、コーン、コーン!!会いたかったよぅ・・・・」

「俺も、ずっと会いたかったよ」

目一杯の力で抱きついてくるキョーコちゃんに負けないくらいの抱擁を返す。

「く、苦しいよ~、コーン」

そう言いながらもこちらに回す腕を放さない彼女が可愛くて仕方がなかった。俺も、力を緩めても抱擁は止めない。

「だって、嬉しくて」

「うん!私も!私も嬉しい。また、コーンに会えるなんて・・・・」

でも、彼女が俺の本当の名前を呼んでくれたならきっと、もっと嬉しい。俺は彼女の耳元で、秘密を告げるようにそっと本当の名を告げた。

彼女が復唱するように呟く。

「クオン?」

日本の夏にも暑さを感じなかった頬が、何故か熱を帯びた気がした。





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呼んでいる気がして、というか呼ばせています。
ところで人は、真か嘘か、脳にダメージを受けると記憶を失うよりも記憶を捏造することの方が多いそうです。そして彼もまた・・・・・。
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