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9.君が呼んでいる気がして

2012.02.20.23:00

(改)




 (Side:クオン)

16歳・・・・。

キョーコちゃんに告げられた言葉に、自分の時間が止まっていたことに気づいた。気づいて、しまった。

気づかないこと、忘れること、それらにはきっと意味があった。
けれど、取り戻してしまったものが脳みその中にあるものだというのなら、再び捨てることは容易ではない。

なぜ自分はここにいるのだろう。なぜ自分は妖精であったのだろう。

自問の答えは問うたときには既に出ていた。

未練だ。演技への未練。純粋だった自分への未練。
だから俺は、ここへ来たんだ。
何よりも楽しかった、どの時よりも観客を楽しませられた――――妖精の森の舞台へ、妖精の王子様として。

だというのなら、それならばいっそのこと、優しい妖精じゃなくても、優しい妖精のフリをするから、最後まで、最高の演技で、キョーコちゃんにとってのハッピーエンドに辿りつくから。

・・・・どうか気が付かないで。

空も飛べない、魔法も使えない、残酷で傲慢な『俺』という正体に。

君の幸せを願う心だけは、本物であり続けるから・・・・。







「キョーコちゃん、今日はハンバーグ王国で遊ぼうか」
「ななななな、な、何言ってるのクオン!?私もう中学生なのよ」

からかっているのがバレバレの口調にキョーコちゃんが恥ずかしそうにしながら慌てた。子供のころのエピソードって、今になると恥ずかしいものが多いよね。俺は可愛いと思うけど。

「あれれ、キョーコちゃんはもう目玉焼きハンバーグは好きじゃないの?」
「大好き!今も昔も最上大好物産の社長だわ。でも、ままごと遊びは卒業したのっ!」

すぐ子供扱いするんだから、とキョーコちゃんはご機嫌斜めだ。でもそれよりも俺が気になったのは、

「モガミ?」

キョーコちゃんの言いたい事はなんとなく分かったけれど、“モガミ”とはなんだろうか。

「あ、あれ?クオンに言ったことなかったのかな・・・・そう言えば無いかも?最上キョーコ。私の苗字よ」

「モガミ キョーコ・・・・ちゃん」
「何だか不思議ね、こんなに一緒にいるのに改めて名乗るなんて」

そう言って彼女が笑った。だから、だろうか。幼い頃は敢えて秘密にしていたそれが、俺の口からさらりとこぼれ出た。

「俺はね、ヒズリって言うんだよ。クオン・ヒズリ」
「ヒズリ?それが妖精の王族の名字なのね!それとも国の名前?」
「国の名前ではないよ」


その日は河原で水遊びをして別れた。さすがにこの年齢でハンバーグ王国はやらなかったけれど、いつ以来か無邪気に遊んだ。

明日は花畑に行こう。次はお化けの木の秘密基地に行って、それからまた河原で水遊びをしよう。
たくさん話を聞くよ。暑さにまいってしまったなら、俺の腕の中で涼むといい。
二人でいよう。他には何も要らないと感じるくらいに、楽しい時間をつくるから。

・・・・だから、俺を、捨てないで。


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事故は16歳以前に起きています。
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