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10.君が呼んでいる気がして

2012.02.21.06:00

(改)




 (Side:クオン)

 「キョーコちゃん―――――――――――

 綻びるような笑顔で振り向く彼女に向けて、なぜ言えるだろうか。

 “俺は既に死んでいるんだよ”などと。

 「クオン?どうしたの?」
 「いや、何でもないよ。今日もキョーコちゃんは可愛いなって」
 「もう!クオンたらすっかり誑しになっちゃったんだから」

 酷い言い草だ。キョーコちゃんに向ける賛辞には何一つとしてリップサービスなど無いのに。

 「酷いなぁ。俺は思ったことを言っただけなのに。可愛いキョーコちゃんの視線を奪うなら俺は花にも嫉妬するよ?」

 「そういうところが誑しなの!」

 今日は昨日の約束通り、河原から少し奥に入った花畑に来ていた。
 キョーコちゃんは色とりどりの花に夢中で、少し面白くない。

 花を摘み、花輪を編み込むキョーコちゃん。
 流石に自分は見ているだけだ。最初は花と戯れるキョーコちゃんを愛でたり、器用にブーケや花冠を作る様子に驚いたりしていたが、段々寂しくなってきた。

 決して退屈している訳ではないのだが、キョーコちゃんが花にばかり構っているのが気に入らなかったのだ。

 花畑に座る彼女を背後から抱きしめ、邪魔にならない程度にちょっかいをかける。

 「きゃー!や、やめっ、なにしてっ」

 訂正。ちょっと邪魔になってるみたいだ。

 「耳に息を吹きかけたんだよ。キョーコちゃんが構ってくれないから」
 「もう!そんな悪戯するクオンなんてこうよ!!」

 キョーコちゃんがパッと後、つまり俺の方を振り向いて膝立ちになった。

 「っん、ちょ、キョーコちゃ、ん!」

 キョーコちゃんに耳を吹き返され、思わず力が抜ける。バランスを崩した拍子に彼女の唇が耳に当たる感触がした。

 恥ずかしさを誤魔化すように彼女のわき腹をくすぐって、その後は花畑で転げ回った。

 まるで、6年前のあの日々のように、12歳の彼女はともかく、俺まで小さな子供のように振る舞った。

 それは楽しさ半分、演技半分だ。隠された半分は、妖精の王子様には必要のないものだから・・・・・・・。

 彼女の幸せを願った筈なのに、いつの間にこんな気持ちを抱いていたのだろう。
 俺は4つも年下の、まだ12歳のこの娘が好きらしい。それも、友達ではなく、女の子として。

 今までにも女性との付き合いはあったけど、こんな気持ちは初めてだった。だからすぐにはこれが恋だとは気が付かなかった。

 けれど、そう、思い返せばいつもこの感覚が身の内で燻っていた。目が合うだけで、触れ合うだけで、その涙にさえ、幼い少女に抱いてはいけない欲望を立ちのぼらせていた。もしもそれが想いを伴わないものであるのなら、俺は正真正銘のクズだ。

 だから俺はことさら子供のように振る舞う。彼女の良き友であれるように。



 キョーコちゃんが“彼女の王子様”の話をあまりしなくなったことに期待してはいけない。
 死人は死人。お姫様のキスでも目覚めようのないモノが、ハッピーエンドの相手になれる道理などないのだから。



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