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15,5.君が呼んでいる気がして

2012.07.05.22:06





(Side:冴菜)

 疎ましく思ったことは何度もある。1日は24時間しかなく、その時間を切り詰めて日々を過ごさねばならないのに、子供と言うのは予定外のことばかりする。
 それでも憎んだことはなかった。能天気で無邪気な存在に、腹を立てたり苛立つことはあっても。

 キョーコが赤ん坊の頃は私にも余裕があって、心から可愛がれていた。子供がもの心ついてきたのを切っ掛けに仕事を再開した。

 それが始まりだった。
 時間のゆとりがなくなると、たちまち子供の相手が煩わしくなった。ふとした時間の余白にキョーコとのやり取りを思い出しては、自身のヒステリックな態度に自己嫌悪に陥るのに、なんども同じことを繰り返した。

 誰にもぶつけられないストレスを、血縁の甘えなのか無意識にあの子にぶつけてしまう。

 とにかく時間が必要だった。何年かすればまとまったお金が入るし、仕事も時間にゆとりのあるものへ変更できる。

 とうとう一緒に暮らすこともままならなくなり、縁のあった不破家に預けたが、数年もすればまた一緒に暮らせる。
 だから面会に行くたびにイライラした。私はキョーコのために懸命に働いているのに、キョーコがそれを理解せず、私がまるでキョーコを捨てた様な態度を取る事に。

 色んな雑事が片付いて、時間も心もゆとりを取り戻した時、今までで一番の自己嫌悪をもよおした。
 私がまた無意識に、キョーコにストレスをぶつけるために、あの子を悪者に仕立て上げていただろうことに気付いたからだ。どんな些細なことにも理由を付けて、キョーコを悪しざまに言っていた。

 人間とはそういう風にできている。言ってしまえばそれまでのことだが、自分は大丈夫だと思っていたからこそショックが計り知れなかった。

 キョーコや不破家、そして世間への申し訳なさと恥ずかしさで、不破家と約束した期間を過ぎても迎えに行けず、親子として過ごすブランクを取り戻す間、もう少し預かって欲しいと頭を下げた。

 にもかかわらず、私は未だにキョーコに会いに行く決心が出来ないまま時を過ごした。

 しかし転機は訪れた。それは学校からかかってきた一本の電話だった。
 なんとキョーコが全国共通テストで1位をとったというのだ。にもかかわらず、志望校のレベルが低いということで、学校側から連絡が来たのだった。

 テストの事を褒める。それを切っ掛けにしようと思い、しかし足踏みしていたその日、キョーコから私に会いに来た。

 おずおずと“ただいま”と告げたキョーコに、不覚にも泣きそうになった。
 愛しいと、その気持ちをただ感じることができた。


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Author:常葉(トキワ)

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