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16.君が呼んでいる気がして

2012.07.05.22:09





(Side:ショータロー)

 キョーコからの反応は何とも言えないものだった。
 微妙と言うか、何と言うか。

 途中までは思い通りだったんだ。デビューの話に喜んで、許嫁の話に心配して、なのに、東京に付いてきて欲しいと言った俺に、キョーコは“考えさせて”と答えた。

 そこは二つ返事で返すところだろう?
 最近のこいつは本当に分からない。まるで別人になったみたいだ。
 俺の中では、こいつがいつもの能天気なつらで笑って頷くか、飛び上がって喜ぶかのどちらかしか考え付かなかったのに。

 俺はバンド練習帰りの道すがら、メンバーや囲む女子に愚痴をこぼした。

 「えーじゃあ、あたし東京行きに立候補しちゃおうかなぁ?」
 「私も私も!」
 「ばーか、お前ら連れて行ってどうするんだよ。俺が欲しいのは便利な家政婦であって彼女じゃねえんだよ。・・・・・そーだな、お前らは俺がデビューして大スターになってから東京に呼び寄せてやるよ。その頃には家政婦はこっちに帰せばいいしな」
 「あはは何それ、ひどーい」
 「ちゃーんと家政婦返してから私ら呼んでよねー?」

 俺はまさか、キョーコのヤツがこの会話を聞いていたなんて思いもしなかったんだ。キョーコのヤツが門限ぎりぎりまで帰らないなんてこと、今までになかったはずだから。



 「お帰り、ショーちゃん」

 旅館の裏門の所にキョーコがいた。
 先ほどまでの会話を聞かれていたのかとドキリとしたが、いつもの能天気な笑顔で声をかけられ杞憂だと悟る。

 「話があるの」
 「なんだよ」

 旅館の敷地内に入るだけ入り、門限を守る。しかし、そのまま奥へは進まず、人気のない裏玄関近くの塀に寄り掛かった。

 「私ね、ショーちゃんとはいけない。幼馴染として応援する気持ちはあるけど、その気持ちはね、これからの時間を家政婦として潰していいと思う程、無償のものじゃないの。ごめんね」

 きかれていた。咄嗟に言葉が口をつく。
 「バカか!あんなのあいつ等の手前言っただけで、お前のことそんな風に思ってる訳ねぇだろ!?」

 キョーコが嬉しそうに笑った。
 「咄嗟に誤魔化そうとする時、まず相手に“バカ”っていう癖直ってないんだ」
 「っ!?」
 思わず口を押さえる。

 「でも、咄嗟にでも引きとめようとはしてくれるんだね。理由はなんだとしても。でもね、それだけじゃないの。ショーちゃんのことだけじゃなくて、私“ココ”に大切なものが出来たの。だから私は“ついて行けない”し“ついて行きたくない”のよ。」

 あまりにもきっぱりと言い切ったキョーコに、“大切なもの”がなんなのか聞くことすら出来なかった。あまりにもそれは突然のことだったから。



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