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17.君が呼んでいる気がして

2012.07.05.22:14





(Side:キョーコ)

 不思議と、涙は出なかった。
 ただ、やっぱり自分は調子に乗っていたんだな、とか、勘違い女ってこういうことだな、とか、クオンとの間に感じた絆も勘違いだったりしたら嫌だな、とか。そういうことを考えた。

 悲しかったけど、自分を笑いたい気持ちの方が大きくて、そして、過去よりもずっと私の中のショーちゃんの比重は小さくて、泣く程ではなかった。減った比重はクオンに足されていたことにも気付いている。

 ふと“家政婦”という言葉が浮かんで、少し切なくなった。
 ショーちゃんの中で私の存在はずっと前からそのようなものだったのだろう。
 この夏、私の中でショーちゃんが王子様からただの幼馴染へと変化したように、私たち相互の認識は、大きく隔たっていたんだ。
 それはきっと、お互いをちゃんと見ていなかったからだろう。都合のよいものだけを見ていた。相手の目を見て話すことも久しくなっていたのに。

 私はショーちゃんに断りの返事をした後、旅館を出た。今日から私はお母さんと一緒に暮らすことになっているから。

 でも、向かっているのは家じゃない。
 夕日が妖精の森を真っ赤に染め上げているのを、歩みを止めないまま見つめた。

 クオンに会いに行こう。
 妖精でも、幻でも、恋が報われなくてもいい。ただ、今度は本当の絆を結びたい。ただ、クオンの傍にいたい。

 走り出した森の先。せせらぎの聞こえるその場所に、やっぱり彼はたたずんでいた。

 「来ちゃ、駄目だって言ったのに」

 困ったように微笑まないで欲しかった。
 あの日、その言葉をはなった妖精は、捨てられた子犬のような顔をしていたから。

 「くおん」




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