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18.君が呼んでいる気がして

2012.07.05.22:20





(Side:クオン)

 彼女に決別を告げてからの数日、昼も夜も考えていた。
 彼女のことを、俺のことを、これからの・・・ことを。

 森から抜け出して、何度引きとめに走ろうと考えただろうか。
 どこにも行くなと、ずっと傍にいてくれと、どれ程懇願したかっただろうか。

 それでもそうしなかったのは、俺が妖精の王子様ではなく、演技と言う未練にしがみつく亡霊だからだ。

 死者と生者は交わるべきではなかった。だから、こんなことになった。

 「来ちゃ、駄目だって言ったのに」

 俺はちゃんと笑えているだろうか。

 「くおん、ごめんなさい」

 その表情の意味は何?

 「わたし、わたしは」

 泣かないで、抱きしめてしまいたくなる。触れてはいけなかったのに。その温もりを知っているから、引き寄せてしまいたくなる。

 「ズルをしてたのっ!本当は最初から断るって決めてたのにっ!引きとめて欲しくて、行かないでって、言って欲しくて・・・・!」

 何を、いっているんだ?

 「恋ってこんなに苦しいものなの?」

 何を。

 「好きな人に好きって言われた事なんて無くて、怖かった、不安でっ・・・」

 なんで、そんなっ

 「クオンが好きで、でも、妖精で、クオンの好きの気持ちをはかろうとして、最低なこと、したの。・・・・ごめん、なさい。ごめんなさいっ、クオンっ」

 この子は、何を言っているのだろう。これじゃあ、俺は。

 だって、この子は“ショーちゃん”が好きで、なのに、俺のせいで迷わせてしまって、だからもう会うべきじゃなくて。

 それなのに、それ、なのに。この子は、俺が好き?俺は、既に―――――死んでいるのに?




 「きょーこ、ちゃん・・・・」

 いいたくなかった。綺麗な思い出のまま、終わらせてほしかった。だって俺はこの子にハッピーエンドの物語を、紡いでほしかったのに。

 「俺の秘密を、教えてあげる」

 それでも言わなくちゃいけない。生者は物語の中を生きられない。現実を、生きなければいけないんだから。
 彼女の温かい手を取り、冷たい手のひらと合わせてやる。

 「俺はね」

 彼女がひゅっと息をのんだ。

 「もう、死んでいるんだよ」

 だから君の王子様と、どうか―――――――


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キョーコはビッチじゃないよ。悪女でもないよ。人より少し愛情の受け止め方がヘタなだけ。
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Author:常葉(トキワ)

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