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19.君が呼んでいる気がして

2012.07.05.22:29

妖精の森編、終了




人間の少年クオンはとってもいい子。お父さんに憧れて、見果てぬ夢を胸に抱いた。辛いことは胸の内に仕舞って、ひたすら耐える。
青年クオンはとっても怖い子。夢を捨てきれない癖に、頑張る事も忘れてしまった。不満は他人に向かって、血に飢えた獣のよう。
そんなクオンも最後には、優しい心を思い出し、友のために身を投げ出した。



(Side:キョーコ)

 「俺のせいで俺の大切な人を傷つけたくなかった。ただの自己満足だよ」

 『結局、傷つけてしまったと思うけどね』

 呟くような声は日本語ではなく、私は咄嗟には聞き取れなかった。
 そうでなくても、自身の嗚咽で視界も音も不明瞭だ。

 「ありがとう、話を聞いてくれて。・・・・・ありがとう、俺のために泣いてくれて。」
 「う゛ぅ゛コーン、やだ、死んじゃ、や゛だぁ」
 「うん、ごめんね。もう、死んでしまっていて」

 クオンが何か言いかけて黙り込むことを何度か繰り返した。

 「・・・・それから、約束を破って・・・・」
 「く、お゛ん゛?」
 「キョーコちゃん、おわかれ、みたいだ」

 何を言っているのか分からない。分かりたくない。

 「う、そつきぃっ!クオンのうそ、つき・・・言った!傍にいてくれるって、ここにいるって、言ったもん!キョーコが呼んだから、会いに来たんだって、言ったもんっ!!」
 「ごめん、本当にごめん」
 「謝って、欲しいんじゃないっ」
 「会いに行く。絶対に、生まれ変わってでも、だから・・・・」

 その言葉を、飲み込ませたりしない。うやむやになんてさせない!

 「待ってる!ずっと待ってるから!!」

 クオンが息をのんだのがわかった。

 「そう、か。ずっと、ずっと待っていたんだ、俺も。呼び続けていたのは――――

 ――――――――――俺の方だ

 そう、言っていた気がした。
 その言葉の意味を問う間もなく、まるで白昼夢のように、夏の森の妖精は姿を消した。
 そして二度と、現れることはなかった。


 季節は秋を迎えようとしている。




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