スポンサーサイト

--.--.--.--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

1'.君が呼んでいる気がして

2012.07.08.12:46





(Side:クー)

『キョーコ、ちゃん』

「クオン!?」

うとうととしたまどろみの中で、ふと、息子の声を聞いた気がして目を開けると、そこには、幻でも、夢でもなく、本当に、目を開いたクオンがいた。

「    」

「あ、あああ!声が出ないんだな!?すぐに医者を呼ぶからな、ああ、ジュリにも知らせないと!!」

そこからは怒涛のようだった。だが、今までの少しずつ身を削られていくような日々と比べればなんと愉快なことだろう。




一通りの検査が済み、クオンも話せるようになった時、ふと零れた言葉に私は硬直した。

「俺、生きてたんですね」

そうだ、私は息子の苦悩や、私たちが齎してしまった境遇にも気付かず、追い詰めていたのだ。だというのに、私はっ・・・・。

「あっ、ち、違います!!父さん!違いますから、死にたかったなんてことありませんからね!?ただ・・・・」

私の様子にすぐさま気付いたクオンが逆に私を気遣う。ああ、こんな優しいこの子に!!私は最低の父親だ!!

「ただ?」

自己嫌悪に陥っている場合ではない。恐る恐る聞き返す。

「夢を、見ていたんです。幽霊になって、人に会いに行く夢を」
「・・・・“キョーコチャン”か?」
「げほっ」
「キョーコ・チャン、ではなくキョウコちゃん、だよな?日系の女の子か?」

息子との本当に久しぶりの気安いやりとりに、先ほどまでの苦悩は脇に寄せ、私は知らず知らずのうちにニヤニヤしてしまっていたらしい。
クオンがムスッとして言った。

「あの、起きてそうそうの我が子をあまりからかわないで頂けますか?可愛げのある息子ではないかもしれませんが、一応病み上がりです・・・」
「何を言っているんだ!可愛いに決まっているだろう!?それにからかってなんていないさ。ただお前が目覚めて開口一番、口にした女の子について興味しんしんなだけだ。ジェラシーも感じるがな!」
「全く、あなたと言う人は・・・」

そういって笑う息子の顔が、ほっそりとしながらも晴れやかで、私はようやくクオンが帰って来たのだと思えた。


戻る 目次 進む

関連記事
web拍手 by FC2

comment

Secret

※サイト案内※
●当サイトにはスキビの考察および二次創作文が展示されています。それに伴い、展示物には性描写・暴力表現を含まれるものがあります。
●取り扱いカップリングは蓮×キョーコ、傾向は「両片想い」「ハッピーエンド」です。
●また、管理人は考察上、あるいは二次創作文中の設定上、登場人物に対し批判的、否定的な扱いをする場合があります。
●作中のあらゆる事項はフィクションであり、現実に即さないものが多く含まれます。
※性描写・暴力表現を含む作品は年齢制限を設けていますので、高校生含む18歳未満の方は閲覧しないでください。
最新記事
カテゴリ
絵 (1)
最新コメント
検索フォーム
カウンター
管理人
Author:常葉(トキワ)

どうぞごゆるりとお楽しみ下さいませ。
度々細かな変更はありますが、温かく見守って頂けると幸いです。

バナーとか作ってみたり。
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。