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2'.君が呼んでいる気がして

2012.07.08.12:52





(Side:クオン)

俺は、死んでいなかったらしい。

傍から俺を見ているものがいたら、さぞや滑稽だろう。自分が死んでいるものと思い込んで悲観し、悩み、大切な女の子と別れたというのに。生きていたのだから。

けれど、両親やリックにティナ、今まで仕事を共にしてきたモデル仲間に、目が回るほど喜ばれて、ただ単純に、よかった、と思えた。

なんにしろ、幸い外傷は既に全て完治しているから後は筋肉や体の機能を取り戻すリハビリを終えれば、また仕事に臨める。


でも、まずはその前にキョーコちゃんに会いに行きたかった。
眠っている間のことが現実でも、夢でも、幻でも、もう一度、彼女に会いたい。
あれが夢でないなら、告げた俺自身の死は、どうしようもなく彼女を傷つけているはずだから。最後に見た、彼女の表情は12歳の女の子がしていいものじゃない。


だから早く、君が俺の目を覚まさせてくれたのだと、伝えたかった。






最近は随分と体の調子も戻って来て、院内を歩くのに不自由はしなかった。と言うよりも、現在は全盛期に戻すためのトレーニングをどの程度行っていいのか医者と相談中である。

過保護さを増した両親は、体力的にも完治するまで日本行きは許してくれそうにないし、ただでさえ俺が死んでいると思っている彼女に弱弱しい姿は見せられない。

トレーニングがてらこっそり病院の階段を上り下りしていた時、ふと目の端に青い光が

『コーーーーン!!!』

「っ!!―――――キョーコちゃん!?」

なんで、なんで、彼女が。

自分の手のひらには魔法の石、見上げた先には、遠い国にいるはずの友達がいた。






キョーコちゃんはお母さんにお願いして、アメリカに連れてきてもらったらしい。俺の墓に参るために。

しかし、途中でお母さんが体調を崩してこの病院へ寄った。
キョーコちゃんは検査中、不安で石に元気を分けて貰おうとしたが、とりだした石はまるで滑るように階段の下へ。

・・・・・そこに、俺がいたという。

俺が生きていて良かったと泣き続ける彼女からこれらを聞きだすのに随分と時間を要した。

それにしても、と思う。キョーコちゃんのいた6階と、俺の病室のある5階。今まさに昇降運動を終えて部屋に戻ろうとしていた俺は、石が落ちてこなければキョーコちゃんに気が付くことはなかっただろう。

「クオンのくれた石はやっぱり魔法の石なんだわ!」

キョーコちゃんが笑った。

「でも、お墓なんてどうやって探すつもりだったの?」
「クオンが話をしてくれた時に街の名前を言っていたでしょう?だから、そこから探そうと思って。せめて、クオンの暮らしていた街を見てみたかったの」



その後、診察を終えたキョーコちゃんのお母さんは単にアメリカの食べ物が合わなかっただけのようで、大事にはならなかった。俺としては妙に親近感がわいてしまう話だ。

でもキョーコちゃんはお母さんの検査が終わるまで気が気ではなかった訳で、俺に何度も魔法をねだった。

「俺は妖精じゃないんだよ」
と言ったけれど
「クオンのくれた石には魔法がかかっていたもの!クオンが気付いてないだけで、魔法を使えるのよ」
キラキラした目でそう言って譲らなかった。

だから俺は何度も、大丈夫だよ、といった。
キョーコちゃんにも、大丈夫だと言わせた。
二人分の魔法だから、きっとお母さんはよくなるって。

診察結果が出て、すぐに良くなると分かると、

「ほらね!クオンには魔法が使えるのよ!ありがとう、クオン!」

そう言ってますます瞳を輝かせた。

「キョーコちゃんも魔法をかけただろう?」
「でもクオンのおかげだもん」

キョーコちゃんがそういってニコニコするものだから。

「じゃあ、お礼が欲しいな」

思わずそんな事を言ってしまった。

キョーコちゃんのお母さんは、俺が著名人の子であることとか、ここが病院であるからとか理由はあると思うけど、俺とキョーコちゃんに二人の時間をくれた。

だから今は俺の一人部屋の病室に二人きりな訳で。

「わたしにできる?」
「キョーコちゃんにしか出来ないんだ」
「あのね ―――――――



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駆け足展開にて失礼いたします。
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