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5,5'.君が呼んでいる気がして

2012.07.10.12:31





(Side:キョーコ)

日本へ向かう飛行機の中。私は夢を見ていた。今日一日にあった、奇跡みたいな再会の夢を。


『俺はね、ずっと心のどこかで子供の頃の想い出を支えにしていたんだと思う。キョーコちゃんと過ごした時間は俺に演じることの本当の楽しさを教えてくれたから。役そのものとして生きる喜びをね』

想い出を支えにしていたのは私も同じだった。ショーちゃんで笑顔になる私だったけど、悲しみや寂しさを支えてくれたのはずっとクオンとの想い出だった。

『クビを切られる度に、表面では強がりながら、自信を失くしていった。それまでも、キョーコちゃんとの時間は大切な想い出だったけど、この頃から切に願っていたんだ。君に会いたいって』

遠くを見つめるその瞳が空虚で、私は思わずその手をとった。視線が私へと定まり、僅かに頬笑みが浮かぶ。

『会って、また勇気づけて欲しかった。俺なら出来るって、絶対飛べるって』
『勇気を貰ったのは私の方だわ』
『俺も貰っていたんだよ。君のキラキラした瞳や、無邪気な笑顔に』

共に育ってきた幼馴染に家政婦だなんて呼ばれるほど、馬鹿で愚かだった私。でも、クオンがそう言ってくれるなら、私は過去の自分を否定せずにいられると思った。

『でも俺は“キョーコちゃんが呼んでいる”って思いこむことで、現実から逃げる理由を君に押し付けた。本当は停滞して淀んで行く世界から、君のいる優しい世界に行きたかっただけなのに』
『本当に呼んでたよ。ずっとクオンに会いたかった』
『ありがとう』

クオンがそう言って笑った。自嘲の笑みだった。
触れていた手に力を込める。その手の温かさに彼は生きているという事実が胸に迫った。訳も分からず泣きたくなるのをぐっと抑えて、クオンの顔を見詰めた。

『でもあの森で、もう一度キョーコちゃんにあって、色んなことを思い出した。向き合って、認めて、受け入れられた。・・・・・全部、君のおかげだよ』
『私はなにも・・・・』

ただ毎日クオンに遊んでもらって、慰められて過ごしただけだ。

『分からなくてもいいんだ。ただ、俺は君に救われた。それだけは覚えていて』



そこで目が覚めた。飛行機は間もなく日本に付く。
クオンのいない、そしてお母さんのいる日常が、始まる。


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二人は、キョーコのアメリカ滞在最終日に会いました。
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