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5'.君が呼んでいる気がして

2012.07.09.19:31





(Side:キョーコ)

日本に帰る飛行機の中、私はずーっとニコニコしていた。お母さんはそんな私に少しあきれ顔だ。

「なあに?さっきまで別れたくない離れたくないって大泣きだったのに」
「う゛、だってクオンが迎えに行くって言ってくれたから・・・」

別れるときは悲しいし辛いけれど、いざ引き返しようのない機上にまで来てしまえば、後は再会できたことの喜びと、未来への期待で胸が一杯にってしまうのだった。

「でも良かったの?出来るだけ早くじゃなくて」
「・・・・寂しいけど、手紙で我慢する」




数時間前、見送りに来てくれたクオンと再び離れる時、クオンは退院したらすぐにでも会いに行くと言ってくれた。でも私は待ったをかけた。クオンと病室で話したことを思い出したからだ。



「じゃあ、お礼が欲しいな。」
「わたしにできる?」
「キョーコちゃんにしか出来ないんだ」

「あのね ―――――――俺に、魔法をかけて欲しいんだ」

口調は悪戯気なのに、その表情は切実に見えた。だから私もできないとは言わなかった。

「どうすればいいの?」
「言って欲しいんだ。俺ならできる、絶対勝てるって」

クオンが森で話してくれた、彼の今までを思い出した。

「クオン、クオンなら絶対出来る、絶対勝てるわ。だって王様はみんなの頂点に立つんだもの!」

だってクオンは、

「私だけの妖精の王子様なんだから!みんなの王様になって、誰にも負けない最高の役者さんになれる!私は信じてる!!」

「・・・・・きょーこちゃん・・・・・・ありがとう」

そう言って笑った顔は、涙が伝っていたけれど、でも力強いエネルギーに満ちていた。


その後は二人でホットケーキを食べた。蜂蜜を8の字にかける幸せのおまじないを教えてもらって、半分こする。

食べ終わった後、クオンが言った。

「俺、戦うよ。何度だって立ちあがる。自分の可能性を、信じて」



クオンは役者として心機一転したところだ。だからこそ、今が一番重要なんだと思う。
役者としての決意を固めたクオンの瞳は演技への情熱で燃えるようだった。演技をしたくて仕方ないに違いない。

それを押してでも自分に会いに来てくれようとしている思いが嬉しかった。
だからこそ、私はとどめた。

私もクオンのことが大切だから。クオンの演技への熱意ごと彼を大事にしたかった。

とどめた私にクオンは言った。

「わかった。でも、必ず会いに行くよ。そうだな・・・・キョーコちゃんの中学校の卒業式には、キョーコちゃんを養えるくらい稼げる男になって迎えに行くから!だから、待っててくれる?」

それは彼がその期間までに一人前の役者となる、という宣言でもあったのだと思う。

空港でのやり取りを思い出してますますニヤケていると、

「この年で娘の嫁ぎ先が決まるなんて・・・・喜ぶべきなのかしらね」

お母さんがそんな事を言った。

「と、嫁ぎ先って!!」
「まあいいわ、好きにしなさい。アンタが幸せならね」

このアメリカ旅行はクオンのことだけじゃない。お母さんとの溝も確実に埋めてくれた。
幸せは怖いけど、もう間違ったりしない。

クオンがアメリカで頑張るように、私も日本で精一杯頑張ろう。
今は自分のやりたい事を見つけたいと、役者を志すクオンを見て思った。



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両想いのつもりのキョーコと、片想いかもしれないと懊悩中のクオン。
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