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完璧な人生の歩み方~手段を選ばない漢(2)~

2012.10.11.00:17

注意:例のごとく松太郎君は不憫なポジションです。



「これで・・・大丈夫かしら・・・」

 何度も何度も鏡の前で自身の姿をチェックする。それでも不安が拭えないのはクオコちゃんがあまりにも美人だからだ。

 綺麗さでは絶対に敵わないから可愛い路線で攻めてみたけれど、果たしてこれもどこまで通用するか・・・。

「・・・・っ」

 泣かない泣かないもの。

 クオンが実は女の子だったなんて急に分かって、昨日は混乱しているなりに勢いがあった。

 でも、今は少し冷静になって、だからこそ不安で仕方がない。クオンが何を考えているのか全然分からなかった。

 どうして私に何度もキスしたの? 女の子同士の愛情表現でしかなかったの?

「もう、時間だわ・・・」

 最後の最後にもう一度チェックして、私は家を出た。今日のデートは偶には待ち合わせをしようといわれて近くの喫茶店に集合だ。考え事をしていても迷わないその場所は運が良かったのか悪かったのか。

 昨日は勢いで男の子になってしまったけれど、そもそもクオンの恋愛対象はどちらなのだろう。普段男装をしているのだから女の子が好きなのだろうか。でも昨日は女の子の格好をしていたし、おそらく今日もそうだろう。

「わかんない、わかんないよ・・・」

 クオン・・・。

「何がわかんねーんだ?」
「ひとまず、不破君には関係のない事よ」

 喫茶店へ向かう途中。もはや私の中では疫病神&ウザキャラでしかない不破君がそこにいた。

「こぉんの~~~どうしてお前はそうやって直ぐに突っかかってくるんだよ!!」
「気のせいじゃないの?」

 周りが見えていない(正確に言うと、都合のいいものしか見えていない)彼からすると、確かに私は彼に対して刺々しいかもしれない。でもそれは別に前世のことを引きずっているからではない。それも少しはあるけどね。

 不破君は常に私に対して高圧的であり、私が不破君の言うとおりにするのが当然だと思っている。だからその当然のことをしない私に腹を立てている訳だけど・・・そこに正当性などあるはずもない。

 私からするとクラス内でいじめの原因を作っている彼とこうして口をきいているだけでも譲歩なのに。彼が悪意を持ってやっているわけではないからのお情けなのに・・・。

 ぐるぐると悩んでいたのもあり、私はほんのちょび~っとだけ切れた。

「もうっ!! うっとうしいなぁ・・・放してよ!!
 私はこれから女神様とイチャラブするために百合の道を模索しないといけないの! アンタに構っている暇なんてないの!!」

「はぁ? わけわかんねーこと言ってんじゃねー! オレにも分かるように言えよ!」

 もう! 何でこいつは直ぐに人の腕を掴んでくるのよ! 私に気安く触れていい男・・・あれ、違う? とにかく触れていいのはクオンだけだって前世から決まってんのよ!!

「関係ないって言ってるでしょう!? いいから放しなさいよ~~!!」

 ぎゃいのぎゃいのと言い合ってしまったのもいけないのだろう。いつも適当に不破君をあしらっていた私がムキになっていることを、こいつは明らかに面白がっていた。

「いい加減放してよーっ!」

 待ち合わせに遅れちゃうでしょう!?

「君、何やってるの!」

 その時だ。凜とした涼やかな声が、私と不破君の間に割って入ってくれた。

「私の友達をいじめるなんて許さないんだから!!」
(め、女神様ぁ~~)

 私は颯爽と現れたクオコちゃんにメロメロだ。いじめられているように見えたのならこれを利用しない手はない。

「クオコちゃん! ありがとう、助けてくれて」

 この世の美を凝縮したようなクオコちゃんに、ませガキの不破君は見惚れてぽけ~っとしている。
 私はその隙にアイツの手を振り解き、素早く涙をあふれさせてクオコちゃんに抱きついた。

 ああ、女の子になってもこの癒やされる香りは変わらない。ばれないようにクンクンと匂いを嗅いでしまっても仕方ないわよね? ね?


 § § §


 せっかく女の子同士で遊びに出かけるというシチュエーションなのだから、クオンの時とは趣向を変えて待ち合わせすることを提案したのだが・・・。

 早めに待ち合わせ場所へ着くために準備をしているさなか、しかし俺は気がついてしまった。

「俺は馬鹿か!? 可愛い可愛いキョーコが待ち合わせ場所に向かう途中で変質者に襲われたらどうするんだ!?」

 そうだ、そうなるに決まっている。俺とデートをするためにとびっきり可愛くお洒落をしたキョーコが世の変態どもの目に留まらないはずがない。


 俺はこうしてはいられないと慌てて家を出た。
 待ち合わせ場所へ向かうキョーコをストーキング・・・いや、見守るために。



「はーなーしーてっ!!」

 俺の予想はどうやら当たっていたようだ。前方になにやらクソガキに絡まれピンチのキョーコが見える。
 折角なのでここで女の子の友情ポイントを稼がせて頂こう。

 クオコモード・オン☆

「君、何やってるの!」

 キョーコちゃんのスベスベぷにぷにの柔肌を無遠慮に掴むクソガキに向け、キッと睨みを利かせる。

「私の友達をいじめるなんて許さないんだから!!」

 キョーコちゃん、私の勇姿を見ていて! このクソガキから私があなたを守るから!

「クオコちゃん! ありがとう、助けてくれて」

 そう言って綺麗な涙をぽろぽろとこぼし私に抱きついてくるキョーコちゃん。

(グハッ・・・一体誰なの? この世界の至宝たるキョーコちゃんをいじめる不届き者は)

 と、自分よりも30cmちかく小さな少年をよく見れば、そいつは不破松太郎だった。普段は生活圏が違うし、もはやライバルにもならない害獣だから存在を忘れかけていた。

 しかしキョーコちゃんにちょっかいをかけるなら許さない。

「キョーコちゃん、もう大丈夫だからね?
 ・・・ちょっと君、私のキョーコちゃんを泣かせるなんてどういうつもり?」

「え、え? あああの、え?」

(ん? あれ、このガキんちょ・・・)

 私が文句を付けると真っ赤になって狼狽える不破に私はピッカーンと閃いた。
 睨むのをやめて穏やかさを意識して問いかける。

「ねぇ、君 名前はなんて言うの?」
「え、しょ、ショウ! 不破ショウ!」
「クオコちゃん、違うよ。松太郎君って言うんだよ?」

 キョーコちゃんが私の背にへばり付きながら訂正する。可愛い。

「だまってろよキョーコ!」 
「キョーコちゃんに怒鳴らないで!!」

 大きな声でキョーコちゃんを威圧する不破にすかさず返すと、不破は口ごもってモジモジし出した。可愛くないっつーの。

「ねぇ、松太郎君」

 スッと視線をながす。
 先ほどから顔を赤くして挙動不審だった不破はますます赤くなりワタワタとしだした。

「な、なんだよ・・・」
「松太郎君、私のこと・・・嫌い?」
「え! えぇぇ!? ちが、そんなわけない!!」

 かかった! と思ったときキョーコちゃんがグリグリと頭を押しつけてきた。見下ろすと不安げにこちらを見上げてきている。なんて可愛いの!!
 私は安心するようにと頭を撫でて微笑んだ。するとキョーコちゃんの頬がポッと染まる。そのほっぺをはむはむしたい。今すぐお持ち帰りしたい。私とユリユリしませんか?

「オレ、アンタみたいな美人は好きだぜ?」

 おっと、キョーコちゃんに夢中で不破を忘れていた。
 相変わらずの赤面でなにやら格好付けている。

 本当は2~3年分の涙が涸れ果てるまでいびり倒してやろうかとも思ったが、大人げないし面倒くさくなってしまった。・・・つまりキョーコちゃんと早くイチャイチャしたくなった。

 というわけで路線変更しよう。本当は私に一目惚れしたらしいこのガキをその気にさせては落として遊ぼうと画策していたのだけれど・・・。

「本当? 私はね、私のことだけを一途に思ってくれる人が好きだなぁ・・・。あと私の大切な友達に怒鳴ったり命令する人は大嫌い! ・・・松太郎君は違うよね?」

 言葉の流れで自然にキョーコちゃんを抱き寄せる。

「あったりまえだろ!」

 どの口が言うんだか、という呆れを隠して私はニッコリ笑った。

「そう、良かった! あと私、友達との時間を邪魔されるのも嫌いなの。だから今日はここでバイバイ。(もう会うこともないと思うけど)また会うことがあったらお話ししましょう?」

 ふはははははははっ!! これで暫くはキョーコちゃんにたかる害獣を排除できるはずだ。良かった良かった。

 私はキョーコちゃんの手を引きその場をフェードアウトした。



 § § §



 途中にある移動販売車で買ったシャーベット入りのジュースを片手に公園にある木陰のベンチに座った。

 それまでの道のりは普通だったと思う。私とクオコちゃんは、私のイメージする女の子の友達そのものだった。
 ジュースの味をはしゃぎながら決めて、二つの味を楽しむために半分こして、美味しいねと話しながら公園へと向かった。

 しかし、今の現状はどういうことだろう。

「く、クオコちゃん?」
「なーに?」

 そう返事をしながらもクオコちゃんは私の手首のあたりにチュッチュッ、とキスを落とす。

「何してるの?」
「あの無礼なお子様に触られたところを消毒してるのよ? 私のキョーコちゃんに気安く触るなんて許せない!」

(あわわわわわ~・・・く、クオンにたくさんチュウされて慣れてるはずなのに!)

 私はいつも以上に顔が赤くなるのを止められない。だってだって! 銀色の! 幻想的な! 神話から抜け出してきたような女神様が! 私の腕にく、口づけをしてるのよ~~!?

 慌てる一方で、私は不破君への無礼なお子様呼ばわりにひとまず安心した。

「よかったぁ~クオコちゃん、不破君のこと気にいちゃったのかと・・・」

「そんなわけない! 私がキョーコちゃんをいじめるようなやつを気に入るはずないじゃない!」

 クオコちゃんはさも心外そうに言った。でも色っぽい流し目してたもの。私見てたんだから。

「でも、不破君顔だけはいいし・・・それに、本当の男の子だし・・・」

 私がいくら男のふりをしても、女としての心までは消せやしない。

「あいつが男だからこそ好きになるなんてあり得ないんだけど・・・」

「でも、クオコちゃんは・・・クオンは女の子でしょう?」

「・・・!? ちょ、ちょっと待って! 私は女だけどクオンは男だよ!? 私はただキョーコちゃんの初めてを誰にも渡したくなかっただけで」

 ・・・? どういうこと? クオンの心は男の子、クオコちゃんの心は女の子、体は女の子? 二重人格ってことなの?

「だからね? クオンは心も体も男だから、キョーコちゃんの『初めての女友達』にはなれないの。だからクオコになってキョーコちゃんの初めての女友達になりたかったの。わかる?」

 えーと、えーと・・・。

「クオンは心も体も男の子で、クオコちゃんは私の初めての女友達?」

「そう、その通りだよ!! キョーコちゃん!!」

 ・・・・・・・それって・・・。つまり正真正銘の男なのにそんなに綺麗なの?

「本当に?」
「本当だよ!」

 クオンの言うことを疑っているわけじゃないけど。

「じゃあ、証拠見せてくれる?」
「もちろん!」

 チャンスをみすみす逃がすつもりもないのよ!

「じゃあ、次のお泊まりの時は一緒にお風呂に入ってね?」





 私はクオンの性別もわかって、お風呂の約束まで取り付けてウハウハだ。
 この後の女の子同士のデートはこれでもかと言うほど楽しめた。

 ただ、どうせなら今度はクオンと京介でもデートしたいな。初めては無理でも前世の坊みたいに男友達のポジションもほしいじゃない?



 § § §



 まさかクオコのせいでキョーコに性別を誤解される事態になるとは・・・。危ないところだった。

 まぁ棚ぼた的に一緒にお風呂に入る機会を手に入れたのだからよしとしよう。流石に俺からは誘えなかったし・・・下心がありすぎて。

 とは言え・・・。

「クオコちゃん、これ似合うんじゃない?」

「キョーコの方が似合うよ? でもそれならこっちの色の方がいいかな? あ、でもこっちの方が似合うかも!」

 とは言えだよ!?

「や~ん! これ可愛い!」
「お揃いで買おう!」

 キョーコ、君ちょっとクオコに懐きすぎじゃない!?

 性別に誤解を受けたショックでクオコモードはとっくに解除されている。そもそもキョーコの初めてがほしいのは俺だからクオコは役と言うよりも、ほぼ口調変えただけの俺だしね。

 しかしながら、だ。ほぼクオンとは言えクオコはクオコ。これだけ楽しそうにされるとクオンよりクオコが好きなの? と問いたくもなる。聞けないけどさ。





「それじゃあ、また明日ね! キョーコちゃん」

 クオコの姿でもここだけはいつもと変わらずキョーコを送り届ける。俺は名残惜しい気持ちを押し隠して彼女に別れを告げた。

「待って!」

 服の裾をつかみ、“クオコ”を引き留めたキョーコに胸が苦しくなる。俺はこんな風に引き留められたことがない。
 俺よりクオコの方がいいの? 俺はやっぱり女の子の友達には敵わないの?

「あのね、あの・・・」
「うん、なあに? キョーコちゃん?」

 キョーコはキュッと口元を引き結び、クオコを見上げた。心なしか瞳が潤み、元々血色よい頬がさらに鮮やかに染まっている。

「明日は、クオンに会いたいな・・・、なんて・・・だめ?」

 ズッキューンッ!!!!

 そ、そんな風に小首をかしげて、可愛い顔で、可愛いポーズで、可愛いことを言うなんて!! もう、だめだ!!(ダメなわけないけど!!)

「いいに決まってる!! 明日は絶対“俺”が会いに行くから!!」

 俺はキョーコちゃんをぎゅうぎゅうに抱きしめた。

 やっぱりクオコなんて俺の敵じゃないね!!
 これならこれからも偶にはクオコになってもいいかな?

「クオン、クオン!! でもね?」

 クイクイと服を引っ張られる。
 キョーコの顔が見えるように抱きしめていた腕を緩めると、先ほどより顔を赤くして恥ずかしげな様子で彼女が言った。

「クオコちゃんにもまた会いたいな」
「うん、そのうちね」

 クオコ、封印決定。





 え? ちゃんと約束は果たすよ。ただそれは、彼女の中で占められる俺の割合がもっともっと増えてから。そうしたらクオコの封印を解くよ。キョーコとならユリユリしたりショタショタするのも吝かじゃないし。

 ともかく! ミッションコンプリート!

 俺は(多少力技だったけど)無事にキョーコの初めてを頂戴することができた。
 キョーコにも初めての女の子の友達ができた。

 ついでに不和に素晴らしい初恋の思い出も作ってやった。

 俺は今日も完璧な人生を邁進中だ!






手段を選ばない男/終

 目次
松太郎君の真の不憫は10年後・・・。


おまけ1 その後の二人

チラ
「・・・・」
チラ
「・・・・」
「クオコちゃんに会いたいなぁ~」(ぼそ
「・・・そのうちね」

(会いたいなら早く俺に恋してね?)



おまけ2 クオンと京介君

「クオンの好みの女の子ってどんな子?」
「ブフッ・・・ゲホゲホ」
「あ、おい! 大丈夫か!?」
「大、丈夫・・・だけど、なに? 突然?」
「やっぱ男だけで集まったら女の子の話だろ? あと猥談?」
(誰の入れ知恵だ!!!!)

クオンのターン
 遠回しにキョーコが好みだと言った!!

京介のターン
 中の人は脳内メモにクオンの好みを刻み込んだ!!

クオンのターン
 猥談に乗じてナチュラルにセクハラした!!

京介のターン
 男同士のじゃれあいの振りをしつつ物理的にセクハラした!!



京介君と話したクオンは鶏の彼を思い出したことでしょう。

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