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完璧な人生の歩み方~敢えて言うなら火の粉を払っただけ(1)~

2012.10.15.12:00

注意:この記事には顔文字が含まれます。
注意:この記事には名前持ちの脇役が複数出てきます。
注意:このサイトのお話は設定や国の文化、職業背景そのほか諸々を含めてフィクションです。




 “天使の存在証明(Arguments for the Existence of Angel)”

 それはハリウッドの歴史に永遠に名を刻み込んだ伝説の映画。

 この映画を語るとき、一人の天才子役の存在を欠くことはできない。

 後に彼の役者を知る人々はこう語る。

「クオン・ヒズリ、まじ怖い」(((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル

 ―――・・・と。



 § § §



 サラサラと静かに流れる川の水に足をつけ、二人の子供が楽しそうにお喋りに興じていた。一人はツインテールにした黒髪を揺らす少女キョーコ、一人は太陽の光を反射してまぶしいほどの金髪の少年クオンだ。

「ええぇぇーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!? クオン、もう映画デビューしてるの!!!!??」

 キョーコが頓狂な声を上げた。

「うん、今のキョーコと同じ・・・6歳の時にね」

 クオンはそんな少女に驚くでもなく答えた。彼女が突然叫ぶのは言ってしまえばよくあることったからだ。

「ねぇねぇ、何の役をやったの? やっぱり妖精さん? それとも王子様?」

 キョーコの期待に満ちた表情にクオンはクスクスと笑う。

「あ、もう! 笑うことないじゃない!」

「ごめんごめん、すごくキョーコらしい予想だったから。
 でもおしいな。近いけど、違うよ」

「じゃあ、なぁに?」

 クオンは静かに空を見上げて目を閉じた。

「―――・・・天使だよ」

 そうして考えるのはどこからどこまでならキョーコに聞かせられるかと言うことだ。クオンは過去の出来事を回想した。



 § § §



「おう、お前がクーとジュリエナの子供か・・・なるほどなぁ、作り物みてぇに綺麗な顔してやがる」

 口周りにひげを生やした壮年の男が値踏みするようにクオンを見た。きつく締められたベルトの上に、これでもかと言うほど肉をのせているのでひどく圧迫感がある。

「初めまして、クオン・ヒズリと言います」

 しかしそのようなことは気にならないのか、クオンはにこりと微笑んで壮年の男・・・――オリバー・ワイダを見上げた。

 オリバーは「ほう」と感嘆の声を上げる。

 少年が笑う瞬間――・・・無機質な人形に命が吹き込まれるかのようなその瞬間は、数々の“美”を見てきたハリウッドの名監督、オリバーをしても感嘆の声を上げることしか許さなかった。



 クオン・ヒズリ

 彼は今まさにハリウッドで確固たる地位を築きつつある男、クー・ヒズリの一人息子だ。今年の2月に誕生日を迎えた彼は6歳になっていたとオリバーは記憶している。

 見た目は年齢よりも1~2歳上に見えたが、しかしそれとは関係のない点で年齢を知らなければ尋ねられても答えに窮しただろう。

 性別すら感じさせない美しさに、優雅で洗練された立ち振る舞い。そして全てを見透かすように輝くその瞳が、少年を年齢すら測ることのできない者・・・―――神秘の存在に幻視させた。

 それはまさしくオリバーの求めた“Angel”そのものの姿だった。

「私はオリバー・ワイダ氏のお眼鏡にかないましたか?」

 その容姿にふさわしいボーイソプラノ。これもまたオリバーの求めていた・・・いや、それ以上の“Angel”だった。

「あ、ああ。想像以上だ。もうお前以外に天使役は考えられん」

 あまり役者を褒めることは良くないと――・・・悪だとすら考えるオリバーも、無防備な心のままに本音をこぼした。

 クオンの顔がパッと華やぐ。

「やった!
 それじゃあ監督、俺現場の皆さんに挨拶してきますね!!」

 クオンは喜びの声を上げると、天使の気配を霧散させ年相応の様子で(しかし、やはり確りした足取りで)オリバーの前から風の子のように去って行った。

 オリバーは愕然とした。つい数瞬前までオリバーはクオンがもとから“そういう少年”なのだと信じ切っていた。

 人間離れした高貴で清廉な存在なのだと。

 しかし違ったのだ。オリバーの前に立った瞬間から、いや、スタジオ内に入ってきたときにはすでに彼は“Angel”だった。

 クオンがスタジオに入ってきた瞬間からオリバーは目を奪われていた。目の前に立たれるその瞬間まで己の物のはずの目を奪い返すことはできなかった。
 そんな自分を律するために威圧的にクオンに接したはずが、結局は彼の“Angel”に魅了されたままだった。

 クオンは言葉を発するまでもなく、オリバーにまさしくこれだと思わせる演技をしてのけたのだ。

「血は争えない、ってか?」

 クオンは少し離れた場所から、その小さなつぶやきを受け取った。



 § § §



 夕方、二人はクオンの祖父母の家の縁側でのんびりと麦茶を飲んでいた。日が落ち始めても気温は高いままで、氷を浮かべたグラスも汗をかいている。

 リリィン・・・と風鈴がときどき音を奏でていた。

「クオンはどうして日本で役者をしたいの? もうハリウッドでデビューしていて、あんなにすごい演技で・・・なのに、どうして?」

 あのあと二人は森から戻って映画を見ていた。
 クオンのデビュー作“天使の存在証明”を。

「俺が・・・クオン・ヒズリだから、かな・・・」

 クオンは躊躇いがちな呟きで、そうキョーコに応えるより他なかった。




 もともとクオンはアメリカで映画やドラマと言った映像関係の仕事をする気はなかった。

 ハリウッドでの映画撮影には前世での苦い経験が尾を引いていた為だ。

 ・・・などという可愛げのある理由であるはずもなく、そこら辺の記憶をサクッと演技に昇華してしまうほど図太くなっていたクオンは、単に前世であまり経験のない舞台での演技経験を積みたかったのである。彼の初舞台は5歳の時だ。


 ところで、“天使の存在証明”は前世ではお蔵入りになった映画だった。大きな損失を出したことで随分と騒がれていたので記憶に残っている。お蔵入りになった理由については、それこそクオンが精神的にも本当に幼い頃の話なので詳しくはわからない。

 ただ、あの日“天使の存在証明”の天使役の子役が降板となり、急遽クオンにお鉢が回ってきたわけだから、その降板が何か関係していたのかもしれない。
 それも今となっては分からないことだ。分かるのは事実として今生、クオンがその役を演じた、と言うこと。

 “天使の存在証明”の総監督であったオリバー・ワイダは父クー・ヒズリのハリウッドデビュー作の監督であり、クーにとっては恩義ある相手だった。

 そしてクーは親ばかだった。この世に自分の息子以上に天使を演じるにふさわしい子供がいるはずがない、と断言する程度には。

 結果クオンはワイダ監督の面接を受けることになる。ただ、クオンが思うにワイダの面接は形だけの物だった。
 予定の子役が降板し、その穴埋めをするにはある程度の話題性が必要で“クー・ヒズリの息子”というのは打って付けだっただろう。

 ゆえに面接(とすら言えない顔合わせであったが)は形だけ。演技は最低限できればかまわない。そういう茶番劇だった。

 しかしクオンはあの日、全力で面接に臨んだ。

 役者としての矜持のため、父の面子を保つため・・・――そしてリベンジのために。

 オリバー・ワイダは前世では因縁のある相手だった。彼にクビを切られたことも、父と比較され父の演技(コピー)を求められたことも幾度とあった。

 当時それが悔しくて苦しくて仕方がなかった。しかしそれは同時に彼が何度もクオンにチャンスを与えた、ということでもある。結局は応えられず仕舞いであったが。

だから、クオンは全力で“自分の演技”で面接に臨んだのだ。


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唸る実力、ほとばしる才能!! 嫉妬? 力でねじ伏せるしww
そんなクオン君のハリウッド生活とは?
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Author:常葉(トキワ)

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