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完璧な人生の歩み方~夢を見て夢見たこと(3)~

2011.04.21.05:52

(改)
注意:この記事には、不破家、及び旅館従業員、キョーコ母(冴菜)に対する否定的な内容が含まれます。





(Side:クオン)

「ん…」

その瞬間の幸福を、喜びを、感動を、どう表せばよいのか。
目を覚ました瞬間、飛び込んできた光景を俺は脳内メモリに刻み込んだ。

可愛らしいく美しい、至高の芸術品にもなお勝るキョーコちゃんの寝顔に、俺はしばし見惚れ続けた。もしもキョーコちゃんが俺を好きになってくれれば、この特等席を俺の独占席に出来るんだ。
なんて素晴らしいことだろう。より一層努力しなくては。



目を覚ましたキョーコちゃんに、寝顔を無遠慮に見続けたことがバレてしまい、怒られながら朝食をとる、という朝の一場面の後。
俺とキョーコちゃんは食後の散歩を兼ねて浴衣をとりに向かった。

「クオン、あのね?」
「!!」

これはあれだろうか、お泊りで仲良し度アップ効果と言う奴だろうか。
キョーコちゃんがそっと俺の手を握ってきた。思わず恋人繋ぎに握り直すと、小さな手できゅっと握り返された。俺の心臓もきゅっとなる。
もう、まずい。まだ涼しい時間帯なのに熱くて倒れそうだ。

「クオン?」
「あ、え、なに? キョーコちゃん」
「キョーコ」

ま・さ・か!!!?

「キョーコって呼んで欲しいな。 えっと、クオンの方が年上だし、私もクオンのことクオンって呼んでるし、それにそれに…あっ! そう、お泊りまでする仲だし!」
「う、うん…じゃあ――キョーコ」

これは告白か!? プロポーズの意思表示か!?
いやいやまてまて!! 前世で学習したことを忘れたのか!!
これは単なる友情度アップってことだから、早とちりは失敗のもとだ! しっかりしろ俺!!

「えへへ。クオンっ♪」
「キョ~コ」
「クオン♪」
「キョ~コ」

今日はもしかしたら人生最良の日なのかもしれない。こんなに幸せでいいのか? この後にはキョーコちゃん――いや、キョーコからの着付けタイムまで待っていると言うのに。
昨夜、俺が浴衣の着付け方が分からないと零したら、キョーコが手ずから着付けてくれると言ったのだ。

これは恐らく、キョーコに会えない10年を生き抜いた俺へのご褒美としか思えない。京都に来てからこっち、毎日が幸せサプライズだ。

キョーコから貰っている幸せを、俺は少しで返せているだろうか。そうであればいいと願うし、そうあるために努力を惜しむ気はない。キョーコちゃんと名前を呼びあって歩きながら思った。


帰り道は俺から手を繋いだ。彼女とおしゃべりしながらの道のりはあっという間で、すぐ祖父母の家に付いてしまった。
こうして同じ場所に帰るのを、早く当り前のことにしたい。



「ああ、いいな。それなら嬢ちゃんの隣を歩いても恥ずかしくないぞ」
「ありがとうございました」

グランパがそう言って俺の肩をたたいた。

キョーコとのなんだかいけない気分になるドキドキ着付けタイムを終えた俺は、グランパに浴衣での過ごし方を習っていた。今は隣の部屋でキョーコが着替えているところだ。
グランパは生粋の日本人で普段から和服で過ごすことが多い。「じいちゃん」と呼ばれたら老ける気がする、と言って俺にグランパと呼ばせているだけあり、背筋のシャンとした凛々しい人だ。でも本当は、祖国を離れて日本に嫁いできた祖母…グランマのためにそう呼ばせているのだと父さんが言っていた。

それはともかく、今はキョーコである。家族のことは大切だし大好きだが、男には時に譲れないものがあるのだ。

今キョーコは母さんとグランマと一緒に隣の部屋に籠ってめかしこんでいる。
浴衣姿のキョーコは俺が一番に見たい、そう言って俺が不貞腐れるとキョーコは例の必殺技を繰り出した。

曰く「クオンには一番可愛くなったところを見せたいの」照れ笑い。

俺は前世も含め、人生で初めて『興奮のあまり鼻血を出す』という危機的状況に見舞われた。これでは父さんの二の舞を演じてしまう、と焦りながらも回避できたのは積み重ねた修練と言う名の、学習の賜物だろう。継続とはかくも偉大なものなのだ。
そうして俺の(純真無垢な10歳児の)面子はなんとか保たれた。

俺はアマノイワドが開くのを待つ心地で隣の部屋に続く障子を見つめる。
なんとなく、俺のセンサーが反応したのだ。
そうして間もなく、とうとう扉は開かれた。


あぁ、もう、俺は――――ロリコンでもいい。


現れたのはまさにこの世のものとは思えぬ幻想的な彼女。ふらふらと俺はキョーコのもとに引き寄せられた。彼女は絶対に俺専用の磁場を持っているに違いない。それも、相当に、強力な…。

「君は、実は花の精なんだろう? …ほら、蝶が留まってる」

彼女の浴衣には無数の蝶々が留まっている、彼女の可憐な香りに誘われたように。
俺は蝶になりたいと思った。そうして彼女の蜜を吸いたいと。
頭の中でそんなことを考えていたとき、ふと霞みがかった意識が浮上した。

目前には、密度の濃い綺麗な睫毛。その中心にある大きな黒い瞳は今にも零れおちそうに潤んで俺をさそ――――!!!

バッと音がする勢いで彼女を解放した。
キョーコは軟体動物のようにふにゃふにゃになってる。
周りの大人たちが社さんに睨まれたようになっているのを気配から察した。

『学習の適用範囲外だったよ』

俺の中の理性派、蓮が言った。そういえば所詮は枯れた輪ゴムだったよ。俺の理性って。その上子供の体だしね。

とにかく、不味い。不味過ぎる。マウイオムライスより不味い。
俺はどうやら両親祖父母の真ん前で彼女に、それはもう長々とディープキスをかましたらしいのだから。

まさかまだ浴衣デートもしていないのに俺の完璧な人生計画に暗雲か!?

『破廉恥よぉぉぉ~~~!!!』と言って平手打ちか。
『最っ低!! クオンなんてもう知らない!!!』と言い残し去って行くか。
それとも意外と『今のなぁに?』と言われ、誤魔化して事なきを得られるのか。

頼むから真ん中だけはやめてくれ!! 俺はふにゃふにゃ状態のキョーコを見守った。

「ぅ~」
「え?」
「ふへあぅあーーーーーーーーー!!!」

キョーコは叫んだ。荷物を引っ掴んだ。俺は、『あ、逃げられる』と思った。
しかしキョーコは荷物を引っ掴んだのとは反対の手で俺の手を掴み取った。
そしてそのまま――そう、叫んだまま。手に持ったものどもを掴んだまま――玄関からカラコロと音を立て走った。
俺の手を…取ったまま。

炎天下の中を走って、走って、俺も何とか引っかけた草履で走って。境内について、キョーコはようやく止まった。
息を切らしたまま、彼女は俺に頭を押し付けて言った。

「な、何てことするの!? クオンの馬鹿!! 破廉恥!!」
「ごめん! ごめんね? キョーコがあんまりにも可愛くて、我慢できなくて」

走って乱れてしまったキョーコの髪を直しながら言う。

「なんですか、我慢できないって子供ですか!!」
「うん。そうだね。子供だね。ごめんね?」
「私、怒ってます」

うん。敬語になってるもんね。怒ると言葉が丁寧になるパターンだよね。

「はい」
「だから、今日クオンは1日中私をエスコートしなくちゃダメなんです」
「え?」

むぅ、と彼女が顔をあげて俺を見る。
ああ! だめだよ、そんな可愛い顔されるとまた俺の理性がっ。
などと言う本音は隠し俺はとびっきりの笑顔で答えた。

「謹んでお受けいたします」

キョーコが俺の髪と浴衣の乱れを直してくれた。
俺の荷物は腰に括りつけていた巾着に全て入っているので、このままデートを始めて問題なし。

いきなりキスしてごめんね?
これから楽しいデートを始めよう。



屋台の並びに着くと、キョーコが言った。

「私いろんなものが食べたいから、食べ物は二人で半分こね!」

ちょっと命令口調で言うキョーコが可愛くて、俺は笑った。

「うん、分かった。ありがとうね?」
「私が我儘言っているのに、どうしてクオンがお礼を言うのよ」

ちょっと不貞腐れた顔で言っても更に可愛さを増すだけなのに。

「だって、心配してくれたんだろう? 俺が何も食べないんじゃないかって。」

バレバレだよ?
きゅっ、と手を握りながら言うと、逃げられないキョーコがプシューっと湯気を立てそうな勢いで頬を染めた。

ムラッ

…やっぱり俺は性癖に問題があるかもしれない…。
ちょっと自身への疑念に意識を持って行かれていた俺を呼び戻したのはキョーコだった。

射的の屋台前で、キョーコがぬいぐるみを取ってとねだる。てっきりネコとかウサギのぬいぐるみかと思えば、欲しがったのはライオンのぬいぐるみだった。
デフォルメされているそれは確かに可愛いけれど――前世のキョーコほど激しくないとはいえ――メルヘン癖のある彼女が、あえてそれを選ぶのが不思議だった。

疑問に思いながらも、銃を構える俺への

「クオンかっこいい・・・」

と言う、キョーコの呟きに、少し大きめのライオンを一発で撃ち落とす。残弾は2発。
ライオンを欲しがったキョーコが、他に何を欲しいかわからなかったので聞いてみると、ライオンと同じシリーズらしい黒いオオカミをねだった。

こっちも1発で落とす。
屋台射的の銃の仕組みは前もって調査済みだ。銃の特徴が分かれば後はクレー射撃で鍛えた射撃技術。軍格闘技を学んだときに勉強した重心計算の応用でどうとでもなる。

後は特に欲しいものはないようなので、残った1発で小さなかわいらしいリスのぬいぐるみを落とした。

ちょっとキョーコっぽいとか思って狙っただけに、自分で撃っておいてリスが可哀そうになってしまう。
けれど、すぐにリスを狙って正解だったと思えた。キョーコはライオンとオオカミのぬいぐるみを抱えてニコニコしながら言う。

「この子クオンと同じ色なの!!」

と、ライオンに頬ずりし。

「それにクオンが黒髪になったらこんな感じね?」

とオオカミの頬にキスを贈った。

それ、俺にして、と言いたかった。
でもあんなディープキスぶちかました後に言ったのでは、キョーコの中の俺像がどうなるやら不安すぎる。
だから、言葉を飲み込む変わりに、俺はキョーコの抱えるライオンとオオカミの間にリスを入れてやった。

「このライオンとオオカミが俺なら、キョーコが必要だろう?」

射的屋台のそばで話をする俺たちに、それじゃあ手が繋げないだろう? と言って、射的屋のおじさんが大きな袋をくれる。

いきなり大きめの商品を次々に撃ち落としたのに何故だろうと思ったら、成るほど。設定が甘いとでも思ったのか、人だかりが次々と射的に挑戦していた。
まあ、それ以前にこっちは見た目愛らしい10歳児と6歳児だ。可愛がりたくなるのもよく分かる。
そんな訳で、小さな恋人同士に見える(希望)俺たちは先々で可愛がられながら、楽しく屋台を回っていった。



キョーコ、早く俺に惚れてね。

希望が現実になるように。



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