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完璧な人生の歩み方~芽は出た先から狩っていく主義(2)~

2011.04.24.06:00

<(改)
注意:この記事には、不破君に対する否定的な内容が含まれます。




次の日の朝いつもより早い時間に俺は彼女の家の前にいた。
腕時計を確認し、時間ぴったりにチャイムを鳴らす。間もなく扉は開かれた。

「クオン、お待たせ!」

キョーコは今日も天使の様な愛らしさ。やっぱり学校に行くのやめにしようよ。
という内心は隠して彼女に挨拶する。

「待ってないよ。おはよう、キョーコは今日も可愛いね」
「おはよう! クオンだって今日もカッコイイわ!」

そう言う彼女の肩には鞄がかかっている。今日、彼女は学校でテストを受ける日なのだ。
普段学校に通わない彼女だが、テストのある日は母親との約束を守って登校することになっている。彼女はいつも通り笑顔だけれど、空元気なのは分かっている。
キョーコにとって小学生のテストなど5分あれば終わるものだろう。だから、彼女が不安なのはテスト自体ではない。

ただでさえ早熟な面があり子供の集団に溶け込みずらかったであろうに、不破の所為でいじめを受けているのだ。

俺も彼女も役者を志す者として、『子供らしい子供』を演じるのは難しくない。しかしそれは大人相手の話だ。
幼い子供の集団の中にはシックスセンス、とでも言うのか妙に鼻の利くやつが1人や2人、必ずいる。

そういう奴は必ずこちらの異質さを嗅ぎ分けて声高に叫ぶのだ。こいつは変だ。敵だ。排除するべきものだ。…と。
大人が相手なら立ち回りようもある。ただ感情と本能、そして場の流れが優先される子供社会はそうもいかない。
それこそバタフライ効果だ。なにがどう作用するのか分からない混沌。カリスマとして振る舞うことが出来る一方で、たったひとつのミスを原因に俺たちは子供の集団内にはいられなくなる。

そういう綱渡りの中で、彼女には圧倒的な足手まとい、邪魔者がいた。不破の存在だ。ヤツは慎重に前へ進むこちらにはお構いなしに足元の綱を好き勝手に揺らす。

小学校で上手くやっていけなかった彼女を責めることなど誰に出来るだろうか。せめて傍にいた。彼女が辛い時こそ。

……それに、彼女は美しすぎる。
彼女の話を聞くと陰湿なタイプの嫌がらせは同性から受けているようだが、ちょっかいを掛けてくるのは男子らしい。

これは明らかに“好き”の裏返しだろう。ただでさえ同年代の少年の心を学ぶ機会の無い彼女がそれに気が付こうはずもないけれど。



他愛もない話をしながら学校へと向かう。
昨日、明日は会えないと言った彼女に、俺は学校の送り迎えを申し出た。

「ねぇ、クオン。どうして私の学校の送り迎えなのにかばんを持ってるの?」
「あぁ、寄るところがあるんだ。大丈夫、ちゃんと迎えに行くよ」

登校時間ぎりぎりを計算して家を出たから、周囲に子供の姿はまばらだった。
視線を感じるけれど、それも仕方のないことだよね。

「…どうしてかしら? なんだかすごく視線を感じるわ」
「まぁこれだけの美少女と美少年が歩いていたら見たくもなるよね」
「目立つのはクオンでしょ! あ…そう言えばクオンって絶世の美少年なのよね」
「忘れてた?」

俺の顔、キョーコはかなり好きだと思ってたんだけど。

「忘れてた訳じゃないけど、最近はずっと二人きりかグランパとグランマのお家だったから」
「ああ、人の目とか無かったもんね」

デートも基本的に森だし。この間の買い物の時は周りを気にしていなかったしなぁ。

「…でも自分で言っちゃうの?」
「うん? キョーコは見ているだけで目の保養だよ?」
「そうじゃなくて、自分で美少年とか」

本当のことだけど~、とキョーコが納得いかなさそうに言った。

「俺、母さんとそっくりらしいから、自分のことを『綺麗じゃない』なんて言ったら生きた宝石の美を否定することになっちゃうんだよね。だから別にナルシストではないよ? そもそも自分の顔、そんなに好きじゃないし」
「えぇ!? 嘘、どうして!?」
「いや、本当なんだよ。この顔のせいで実は今もこっそりSPが護衛に付いてるし。世の中怖いよね。ストーカーとか誘拐とか拉致監禁とか。キョーコも本当に気をつけてね! キョーコみたいに可愛い子は特に老若男女関係なく、付け狙うクズがいるんだから!!」

森であったキョーコをつけ狙う男(俺。ただし純愛なのでクズではない。悪しからず)に直ぐに警戒心を解いてしまったキョーコが心配で、懇々と言い聞かせずにはいられない。
熱心に話していると、いつの間にか小学校についていた。

「ねぇ、クオン?」
「なぁに? キョーコ」
「どうして、学校の中まで入ってくるの?」

小学校の玄関口、キョーコがそうするように、俺も上靴を取りだして(スリッパじゃいざという時走れないので昨日のうちに買ってきた)校内に入る。
見ていると、キョーコは外靴を鞄から取り出した袋に仕舞った。不思議に思い口を開きかけてやめた。嫌がらせ対策だとすぐに気づいたからだ。
かわりに疑問に答える。

「言ったでしょう? 寄る所があるって」
「寄る所って学校なの!? だめよ、勝手に入っちゃ」

キョーコが慌てて言い募る。

「勝手じゃないよ? ちゃんと見学の許可は貰ってる。キョーコ、まだ、少しだけど時間あるよね? 職員室に案内してくれる?」

教師が教室に来る時間ぎりぎりまで、キョーコを一人、教室にはやりたくないしね。

それに許可をとったというのは本当だ。
日本の学校制度や日本の子供たちの学校での生活、どんな校舎で過ごしているのか、テスト中で構わないので見学させてもらえるよう、昨日キョーコと別れてすぐ、祖父母の協力の元見学許可を取り付けた。

彼女が辛い時にはせめて傍にいたいから。



授業時間…それもテストの日に教室にまで入るわけにもいかず、俺は校内を静かに見て回りながら時間をつぶした。
腕時計を見、もう少しで1時限目のテストが終わることを確認する。2時限目までの休憩時間、キョーコのいる教室に行くことに決めていた。ここから教室までの距離を考え、間に合うよう踵を返す。
が、間の悪いことに見回りをしていた教員に声を掛けられてしまった。

適当にかわし、急ぎ足で教室に向かう。キョーコちゃんの教室の扉が見えた時――

「キョーコ!!」

その声が聞こえた。
不破だ。
俺は走り出した。


「お前なんでテストの日しか学校来ないんだよ!」

そうよねぇ

学校こなくても私、100点取れますぅって?

やな感じ

学校に行かないのって二ート?

引きこもりじゃない?

くすくす


不愉快な周囲のささやき。ざわめき。嘲笑。
不破は、この事態を自分が引き起こしていると気付いているのか。そもそもこの聞えよがしの囁きが聞こえているのか?

俺はつかつかと教室内に入りざっと空間内を把握した。
窓際の一番後ろの席に無表情のキョーコがいる。対峙するように偉ぶって文句を言う不破、その傍にニヤニヤしている取り巻きの少年ら、それらを囲むようにキョーコを悪しざまに言う少女たち、遠巻きにしている男子生徒は時おりその輪に視線をやり心配そうな様子だ。

心配げにしているのは彼女に仄かな思いを抱くからか? 助け出すことも、声高に味方に付くこともできずに。
それなら、そこで永遠に見ていればいい。彼女に触れられるのは俺だけだってことを。
辛い恋情に苦しむ前に、俺が枯葉剤を撒いてやる。

【キョーコ】

呼びかけにキョーコと俺の視線が絡み合い、彼女はその真っ暗だった瞳に光を宿した。
俺は女子生徒の囲みなど気にすることもなく分け入り、キョーコに近づく。

【キョーコの顔が見たくなって来てしまったよ】

英語で声をかけたのはわざと。
周囲の状況など見えていないかのように優しく微笑んだ。
突然現れた年上の、それも外国人の少年の登場にざわつく周囲なんて関係ない。

【俺は1分1秒だって君と離れたくないんだ】

そう言うと、彼女は微笑んでくれた。

【もう、クオンたら仕方ないんだから】

こうして強制的に『二人の世界』を作れば大人は声を掛けてこないし、子供だって近づいてこない。
そう、おバカさん以外はね。

「またお前かよ!! あんたブガイシャだろ!? なんで学校に入ってきてんだよ!!」

癇癪を起した子供のように――事実そうなのだろう――喚き散らす不破に、俺は片眉をひそめ自分の首にぶら下がっている許可証をつまんだ。ひらひらと振って見せる。
あとは無視。
キャンキャンヤツが吠えているのは放っておいて、俺は英語でキョーコと話す。
キョーコは周りの人間など気にせず俺だけを見つめてくれる。

ああ、本当に気分がいい。
誰にも見せずに閉じ込めたいけれど、選択の自由を持ちながらそれでも常に俺を選ぶ、そんな君はもっといい。そう思うから、俺はなんとか君を誘拐して監禁するようなクズにならずに済んでいるんだ。

俺は休み時間の度にキョーコのもとへ通った。
3時限目のテストの最中、廊下で休憩時間のことについて教師に問われたが、しかしながら新任であるらしいその年若い教師を、俺が丸めこめないはずもない。
周りの視線は完全無視で教室に居座ることについて? なんの問題も感じないね。キョーコをあんな場所に一人でなんていさせられるものか。



周りのガキども(男)にぶっすりと釘を刺し、枯葉剤まで丁寧に撒いた帰り道。
キョーコが俺の袖くいくい、と引いた。
俺は意図に気づいて屈む。

「うん? どうし――」
「クオン、ありがとう…」

彼女の顔が近づき、ちゅ、と軽いリップ音とごく軽い衝撃。そしてそれは俺に大きな動揺をもたらした。

「きょ、きょーこ!」

俺は自分の口を手で覆う。
キョーコは顔を真っ赤にして走り去ってしまった。
俺の唇に、僅かな温もりを残して。


「今のは、ドウイウイミデスカ?」


俺、期待しちゃうよ?
ていうかキョーコを今すぐアメリカにお持ち帰りしたい。
ということは――

「作戦、また変更だな」

人生は上手くいっても思い通りにはならない。
そんな事を学んだある日の出来事。


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Author:常葉(トキワ)

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