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再構築りれいしょん②

2011.04.24.16:00



まてりある


(Side:キョーコ)

すーはーすーはー

深呼吸をしつこい位に、何度も何度も繰り返す。

それは一ヶ月ほど前までは、自分に与えられた部屋を出るときの儀式だった。

そして今は――――――

こんこん

ここは、一ヶ月前このお屋敷にやってきた『敦賀蓮さん』のお部屋。

「はい」

そう言って、返事と共に扉が開けられる。

「また君か」

『敦賀蓮さん』はそういって呆れた顔をする。

でも毎回、必ず体を避けて言ってくれた。

「どうぞ?」

私を部屋に入れた後も、扉は少し開けたままにする。

女性と二人きりの状態で密室を作ってはいけないそうだ。

「で、今日は何の用?俺も暇じゃないんだけど」

「あ、の。何か、私、お手伝いできること、ないかなって、思って、それで」

「ないよ。帰ってくれる?」

「あ、あの、じゃあ、なにか、お茶でも・・・」

はぁ

『敦賀蓮さん』がため息をつく。

呆れられてる、邪魔して、迷惑をかけている。

それでも私は、毎日こうして『敦賀蓮さん』のもとに通ってしまった。


私は寂しかった。

寂しいのに、人が怖くて、嫌で、なのに、『敦賀蓮さん』だけは違った。

彼に嫌われたくないのに、こうして迷惑なことばかりして、少しでも傍にいようとしてしまう。


いつも『敦賀蓮さん』はこのため息のあと、私のお茶を飲んでくれる。

無言の、短いお茶会を私と過ごしてくれる。

でも、この日は違った。









(Side:蓮)

特別、虫の居所が悪かったとか、そう言うことじゃあ、ない。

この一ヶ月の間、少しずつ降り積もっていた何かが、とうとう爆発した。そんな感じだ。

嘗て、無邪気に笑いかけてくれた少女が、おどおどびくびくとしながら俺を見上げる。

俺が分からないくせに、どうせ俺のことなど既に記憶のかなたで、ショーちゃんとの思い出にでも塗りつぶされているくせに。

それでも毎日会いに来て、あなたなんか覚えていない、と見せつける。

この日、俺はとうとうその苛立ちを、幼い少女にぶつけてしまった。

「君さ、俺の言っている事、本当にわかってる?」

自分でもびっくりする位に、抑揚のない声が出た。

彼女はびくっと大げさに震え、さっと俯けられた顔は耳まで青いようだった。

「もっと直接的に言わないと分からないかな?毎日毎日―――――」

慣れない日本での生活。

自分に気づいてくれない少女(汚れてしまった自分など、見せたくはないくせに)。

けれど、それが何の免罪符になるというのだろう。

たった11歳の、いつも泣いていた6歳のあの時よりも、もっと弱弱しくなってしまった彼女に、あんなことを言うなんて。

ダン!!

「鬱陶しいんだよ」

機械の音声のようだった。

せめて、怒鳴るのは堪えようと殴った机。

だが結果、招いたのは怒声よりも恐ろしいであろう、温度のない音。


ぱたん


俺は扉が閉まるのをただ、茫然と見ていた。

「俺、いま、なにを言った?」


閉まった扉をもう一度開く。俺は彼女を探して走った。








(Side:キョーコ)

頭が一切の思考を拒否している。

ただ、あの部屋には、『敦賀蓮さん』の傍にはいられない、居てはいけないのだと、それだけを理解した。

気がつけば、自室に近い庭、と言うには壮大な森の中に逃げ込んでいた。

小さな人工の沢の流れるそこは、不思議と私の心を引きつけた。

ポケットから、青い石を取りだし握りしめる。

ひたすらに、この優しい場所でそうして蹲っていれば、じわじわとするこの胸の鼓動は収まるはず。

ときどき目が覚めると、こんなふうに、心臓がじわじわして、苦しくて、勝手に涙が出るけれど、ここでこうしていると、何もなかったことに出来る。

じっと、じっとしていると、不意に

がさ

と草木を分ける音がした。

驚いて振り向くと、そこには『敦賀蓮さん』がいた。

傍にいたらいけないって、それだけで、体が勝手に逃げようとするのに、恐怖で体がすくんで動けない。

それでも、ずりずりと体を引きずり逃げようとする。

片手で必死に石を握りしめた。

「ごめん」

その時、突然、視界が高くなる。

温かさに包まれて、『敦賀蓮さん』の顔が目の前に来ていた。

その顔が、苦しそうに歪む。

「ごめん、本当にごめん、謝って済むことじゃないけど、酷い、最低なことを君にした、俺は、君に忘れられてしまったのが、ただ、苦しくて悲しくて、如何すればいいか分からなくて、済まないっ」

彼が今にも泣きそうに見えて、私はとっさに石を差し出した。

「これ!これを、持ってると、苦しいの、なくなるよ」

彼が今まで見たことない位に目を見開いた。

そして、なかなか石を受け取らない彼に、ようやく自分が彼に抱きあげられている事に気がつく。

抱きあげられている事に動揺していた私は、

「知ってるよ」

そう言って、天子様のように微笑んだ彼に、さらに動揺した。








(Side:蓮)

彼女を抱き抱えたまま、収まりのいい木の下に腰を下ろす。

「俺があげたものなんだから。ごめんね、髪も目の色も変わっていたら、分かるはずないのに、何で気がついてくれないんだって、勝手にイジケテ、怒っていたんだ」

彼女がバッと俺に飛びついてきた(既に密着状態ではあったけれど)。

驚き顔の彼女に仕方ないと思いながら、出てきた言葉は予想外のものだった。

「この石、あなたがくれたの!?」

『あなた、コーンなの!?』てっきり、それに類することだと思ったのに・・・。

(なんだ?なんで、これじゃあ、まるで・・・)

本当に、忘れられてる?



けれど、彼女が忘れてしまったのは、俺のことだけではなかった。

彼女は、何も・・・・・。




何もかもを忘れてしまっていたのだった。















我が家の敦賀氏は、幼女なキョーコたんを抱っこするのがお好みのようです。
・・・・変態じゃまいか/(^o^)\



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Author:常葉(トキワ)

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