スポンサーサイト

--.--.--.--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

幸せの探し方~エピローグ~

2011.04.25.20:45

エピローグ(R&K)少女ト青年ノ幸福論


 「敦賀さん、あの、その、何といいますか・・・まだ、痛みます?」

 キョーコが申し訳なさそうにしながらも、僅かに頬を染めながら尋ねた。

 成立したカップル、その男女間で交わされる会話として特に不審な点はない。

 もし、これが男から女へのものだったなら、その二人の一線越えの有無すら確認し得る内容と態度であったであろう。

 しかし、尋ねたのはキョーコ。尋ねられたのは男、蓮の方である。

 すまなそうなキョーコの顔から、蓮が『痛くなる』様なコトを行ったのが彼女であるのが窺えた。

 それも、尋ねるのに頬を染めなければいけない類のことらしい。

 そしてこの光景は、二人が所謂『お付き合い』をするようになったその日、丁度1ヶ月前から繰り返される光景なのだった。


 何も男女逆転で、奏江いうところのノーマルの上に『アブ』を付けるような愛の形を築いている訳ではない。

 何を隠そうこの二人、押しつ押し倒されつしているにもかかわらず、未だ清い中である。



 話はそう、二人が付き合い始めたその日にさかのぼる。









 「最上さん、君に、伝えたい事がある」

 腕を解放してもなお、自分に続きドアの前までやってきてくれたキョーコへ蓮は向き直った。

 「君が聞きたくないと言うなら、君は聞かないための努力をしてくれ。それでも俺は、伝えるための努力をするから」

 蓮はこの時、キョーコに伝えた言葉そのままの想いだった。

 もう、無理やり拘束するようなまねはしない。

 でも、彼女が拒もうと、自身の想いを伝えること・・・・・。
 それを諦める気など毛頭なくなっていた。

 しかし、キョーコは蓮の意思を受け取った。

 「私も、敦賀さんのお話を聞きたいです。」

 覚悟と言えばいいのか、何か、強い思いを秘めた瞳同士がぶつかり合って、二人にこの扉を開いた先に、起こる出来事を予感させる。

 蓮の手がカードキーを操る。
 扉をカチャリと小さな音を立て開く。

 そんな動作にさえキョーコは胸を高鳴らせ、彼女の胸は蓮に促され入った室内に満ちる彼の気配に包まれた時にはいっそ潰れてしまいそうだった。

 そして蓮もまた、そんなキョーコの様子に気づいていた。

 蓮もキョーコも、ある種の盲目状態で今まで全く見えなかった互いの心の輪郭が、少しずつ、朧気に見えだすのを感じていた。

 (なんで、今まで分からなかったんだろう。敦賀さんはいつだって伝えてきてくれてたのに。君は特別だよって、君は女の子だよって・・・・)

 玄関を抜け、廊下を進みながら不思議がるキョーコとは違い、蓮には、今までかかっていた霧が晴れる意味を理解した。

 (恋を認めたときと一緒だ。お互い、ちぐはぐだった意識と感覚が揃った途端にストレートに伝わって、ストレートに受け取ることが出来るようになる・・・・。)

 今受けっとっているキョーコからのシグナルが勘違いなどではなければ、蓮にとってこの瞬間は勝負をかけるに十分な状況だった。

 (この子に『女』を自覚させた男がいるとして―――それが例え不破であったとしても―――俺は十分に戦える・・・・!!)

 今まで蓮は、期待しては裏切られるということを繰り返してきた。

 しかし、それこそが勘違いだったのかもしれない。

 双方が自分自身の本当の気持ちすら認めていなかったのだから、相手の『本当の気持ち』が分かるはずもない。

 期待は、裏切られてなどいなかったのだ。ただ、裏切られたと錯覚してしまっていただけのこと。

 キョーコが今まで蓮が抱いてきた期待に(その全てと言わないまでも)、当事者のどちらも気付かぬところで答えてくれていたと言うのなら・・・・・。

 戦える、彼はそう思えた。



 キョーコを招き入れるためにリビングへの扉を開ける。
 そこは、二人で食事をし、演技をし、たくさんの言葉を交わしてきた大切な場所だった。

 二人がプライベートな時間を積み重ねてきた空間。

 (だから、ここで伝えたい。)

 蓮はいつものようにキョーコをソファーに座らせたが、自身は跪いてキョーコに向き合った。

 その目を逸らされないことを願い、逸らされないことを確信し、彼は少女に言った。

 「最上キョーコさん、あなたにお願いがあります」





 そんな口上から始まった大先輩の告白を、キョーコは黙って聞いていた。

 キョーコは扉を抜けたとき、いや、エレベーターを出たときから、早い鼓動とは裏腹に、妙な落ち着きに満たされていた。

 目の前の男性からは、エレベーターで視線があった時の燃え上がるような熱は形をひそめて、今は火傷しそうな熱さは変わらずに静かな炎が宿されているように見える。

 その熱が自分を傷つけることはない、そう言う根拠のない安心感がキョーコの心を落ち着けてくれていた。

 だから、向かい合う男の喉が振るわされ、唇からあふれ出た温かく熱をもつ言葉をしっかりと受け取ることが出来たのだ。


 「俺は、あなたを愛しています。俺の幸福はあなたと共にあります。君に、もしも俺を幸せにする気があるのなら、この手を取ってほしい」

 そう言って、青年が手を差し出した。

 いくらでもロマンチックに飾った言葉を吐けるだろうに、どこか理屈っぽいそのセリフは気障なポーズの彼からは考えもつかない、ある意味実直な告白だった。

 何の飾り気もない、不器用な告白で、ふと『恋をしたことがない』そう語った彼をキョーコは思い出す。

 (初恋って、私の、ことだったんだ)

 聞けば聞くほど恥ずかしい、そのクセ気のきかない、そしてそれだけに真っ直ぐに届く言葉だ。相手を絆すためではなく、ただ只管に想いを伝えるための言葉だ。

 (多分私は、彼に初めて告白された人間ね・・・・)

 そんな確信が、余計にキョーコの心を熱くさせる。

 「君が、この手を取ってくれるなら、俺は俺の全てで君を幸せにする。君を笑顔にする努力を惜しみはしない。だから、最上キョーコさん、どうかこの手を取って、俺の恋人になって下さい。」

 だからキョーコもまた、蓮に自身の想いを届けたいと望んだ。









 彼は、その時の手の温もりを一生忘れはしないだろう。

 そして、そのあと起きた出来事も。


 キョーコの手が蓮に触れたと同時に、少女は自分よりはるかに大きな青年を引き寄せた。
 その勢いのまま彼女は中腰の蓮へ、繋いだ手をそのままに抱きつく。

 それが彼女の答であるのは明白だ。

 その抱擁は手を取るだけでは足りない程であるという彼女の想いを確かに蓮に伝え、彼は喜びのあまり彼女をソファーに押し倒す。

 少女はそんな青年を咎めることなく言った。

 「敦賀さん、私を幸せにしてくださいね? 私も、敦賀さんを幸せにしますから。」

 その時のキョーコの笑みは今までで一番のものだった。

 蓮は引き寄せられるように、弧を描く唇に近づいてゆく・・・・。

 そして、

 次の瞬間には、急所を抑え床に転がった。

 「は、破廉恥ですぅ~~~~~~~~~~~~!!!!!!」

 蓮のマンションに、彼の恋人となった少女の叫びが木霊した。




 以来、彼は頻繁に痛み悶えることとなる。

 主に急所が。

 今のところ使い物にならなくなるような事態は起きていない。

 蓮も度重なる学習により愛の試練(と言う風に彼の中では呼ばれている)をかわせるようになったが、なにせ掠めるだけでも痛いところである。

 芸能人は体が資本。商売道具は大切にしなければならない。であるのだけれど、一瞬の触れ合いのために、彼は何度も同じことを繰り返すのだった。


追伸
 心配してくれるキョーコはかわいいし、キスされたことも一緒に思い出して恥ずかしがるキョーコは更にかわいいし。
 そんな訳で、もちろん俺は幸せです(痛いのは遠慮願いたいけれど)。





 ≪了≫






戻る 目次 進む


2012/1/8  リメイク

そうして、未だ自分が『女』を自覚させたことに気がつかない敦賀氏。
アンケートに答えて下さった皆様の優しさを受け、思わず1と2を合わせて書いてみた。
因みに3はおまけにて。
なぜだろう。くっついた後の話なのに全然甘くない/(^o^)\
でも、彼の告白は十分気障ったらしいと思う。
本当に実直な告白は、だるま屋の大将がしそうな告白のことを言うんだ。(一言、『俺と一緒になってくれ』とか『お前だけだ』とか。あれ?これってプロポーズ・・・。)


あと折角のエピローグの追記なので、題名の由来なぞ語ってみまする。
『幸せの探し方』はそのまま、私が

「蓮とキョーコってどうやったら幸せになるんだろう?」
「蓮キョで幸せになるなら、お互いが幸せになるまでの経緯に互いがかかわっていた方がいいよね。」
「ひとまず、すれ違いと後ろ向き思考の原因を解決すれば何とかなるよね☆」

という発想をして、『どうやったら幸せ(蓮キョ)になるんだ―――!!』とそこへ到る道を探したために付けられた名前です。

そもそも当サイトは、話ごとのあらすじが(目次に)書かれていないので、『題名(テーマ)=テーマ』となるように、そのまんまの命名をしています。

『完璧な人生の歩み方』もそのまま、『不運な身の上の二人なんて、チートでも使って完璧な人生を歩んじゃえYO』という発想のもとのお話ですし。

『If』系はそのままですよね。

あと新連載の『再構築りれいしょん』も移り変わっていく(再構築されていく)二人の関係性をストーリーの土台にしています。

まぁ、つまりそういうことです。

私にはセンスのいい題名は思いつかないと、はい、申し訳ありません。


ではでは、ここまでお読みいただきありがとうございました!

明日はおまけを二本立ての予定です。
・・・・間に合うかな。


完成したので投稿しまする。

あなかしこ
 
関連記事
web拍手 by FC2

comment

Secret

※サイト案内※
●当サイトにはスキビの考察および二次創作文が展示されています。それに伴い、展示物には性描写・暴力表現を含まれるものがあります。
●取り扱いカップリングは蓮×キョーコ、傾向は「両片想い」「ハッピーエンド」です。
●また、管理人は考察上、あるいは二次創作文中の設定上、登場人物に対し批判的、否定的な扱いをする場合があります。
●作中のあらゆる事項はフィクションであり、現実に即さないものが多く含まれます。
※性描写・暴力表現を含む作品は年齢制限を設けていますので、高校生含む18歳未満の方は閲覧しないでください。
最新記事
カテゴリ
絵 (1)
最新コメント
検索フォーム
カウンター
管理人
Author:常葉(トキワ)

どうぞごゆるりとお楽しみ下さいませ。
度々細かな変更はありますが、温かく見守って頂けると幸いです。

バナーとか作ってみたり。
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。