スポンサーサイト

--.--.--.--:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

web拍手 by FC2

完璧な人生の歩み方~ACT.82『壊せない空気なんて無い』~

2011.04.28.18:21

(改)
注意:“今生の蓮とキョーコ”が前世の世界に迷い込みます。ただしそれは一夜限りの夢。そんな感じのお話です。





(Side:キョーコ)

「あれ?」

 気が付けばそこは事務所のロッカールームだった。私にはここに来たという意識は無く、首を捻らざるを得ない。
 つい先ほどまで、うとうととしながらもクオンを惚れさせる計画を練っていた筈なのに。

 そのときふと、目の前のロッカーの鏡に映る自分に見覚えの無い傷を見つけた。

「こんな傷、あったかしら…」

 私に傷を付けていいのはクオンだけなのに。キスマークとか初めてのほにゃららとかね!

「あれ?」

 鏡に映るのは確かに自分だ。そのはずなのに違和感を感じるのは…。

「昔の、私?」

 “昔”
 その表現が正しいのかは分からないが、そこに映っているのはバッドエンドを迎える運命にある最上キョーコ――前世の自分だった。
 そうか、これは夢なんだ。
 そっと頬の傷をなぞってみる。

「いたい」

 夢では痛みを感じないなんて嘘じゃない。
 …あるいはこれは現実なのだろうか? そうかもしれない。都合よく、失敗した人生をやり直せるなんてあるわけがなかったんだ。

「と、かつての私なら考えたんでしょうね」

 ロッカールームに一人なのをいいことに、私は小さく声を上げて笑った。

「夢とか現実とかどうでもいいのよ。今私が生きている世界が現実なのよ。そして私が私としてここにある以上――――クオンを落とすっ!! あと最高で最強の役者にもなる」

 ついでのように言ってしまったけれど、役者の仕事もやっぱり大切なのよね。夢とか目標って幸せな人生にクオンと同じくらい欠かせないものだわ。

「ともあれ…」

 感覚的には前世の夢を見ているということを前提にしつつ、念のため周囲をよく観察しながら上手いことやることに行動方針を決める。

 私は頬の傷から現時点を“TBMで騒ぎを起こし、椹さんに怒られに行く直前”と予測したので、タレントセクションに向かって動き出した。
 当然目的は怒られることではない。


「君はどうしてTBMでよく問題を起こすのかね」

 あきれ顔の椹さんは予想通りの言葉からお説教を始めたので、私は全力で反省の演技をした(ごめんなさい、椹さん。昔のこと過ぎて純粋に反省できません)。
 お説教は記憶の半分の長さで終わったけれど、私は世間話をして話を引き延ばした。

「お」

 椹さんが入り口の方へと振り返る。

「よおっ、お早うさん、お前も時間通りだな~」

 そこに“敦賀さん”がいた。……計・算・通ーりっ!!
 敦賀蓮仕様の彼も素敵。クオンの時とはまた違うストイックな魅力がある。
 でもでも! そのストイックさが逆に何とも言えない色香になっているのよ。

 頼まれたものを用意したという椹さんに礼を言う敦賀さん。彼がふとこちらを見た。思いっきりガン見していたので当然視線がカチ合う。やだ、嬉しい。

「おはようございます!! 敦賀さん!!」

 こっちを見てくれたのが嬉しくて思わず笑顔がこぼれた。そのまま挨拶すると敦賀さんも笑って返してくれる。

「おはよう、最上さん。今日も抱きしめたくなるくらい可愛いね」

 ポカンとする椹さんが目の端に映り、そう言えばこの頃は仲が悪いと思われていたことを思い出す。
 しかし今はそんなのは瑣末ごとよね。私たちは次の仕事場が同じ『DARK MOON』の現場であることから、前世の記憶をなぞるように連れだって向かうことになった。

 TBMへと向かう車の中、私はふと気が付いた。
 事務所で敦賀さんと交わした会話は、今生のクオンが言うならいつものことだ。しかし前世ではそんなことを終ぞ言われた覚えがない。
 記憶が混ざり合うなんて、やはりここは夢の中なのだ。痛みを感じたから少しだけ混乱していた。そもそも痛みは電気信号だ。脳が見せる夢に痛みがあるのはなにも可笑しなことではない。気がする。

 私たちがスタジオに到着すると、そこには不破尚がいた。
 敦賀さんに会えた嬉しさですっかり次に起こる出来事を忘れていた。

 無視したいところだけれど夢の中とは言え現場には出来るだけ迷惑を掛けたくない。帰れと言っても帰らない不破さんに、私は仕方がなく場所を移すことにした。

 もう! 夢の中でくらいすんなり敦賀さんとくっつけてよ!!



(Side:蓮)

 気がつくと俺は起きていた。先ほどまで寝ていた筈なのに。
 そこで気が付く。これは夢だと。それも記憶を辿る夢――前世の夢だ。

 と、状況を把握したが正直な話そのようなことは瑣末ごとだ。夢だろうと現実だろうとキョーコは俺の嫁(になる予定)なのだから。

 俺は手足を軽く動かし、自由に動けることを確認した。自由に動けるのならやることはただ一つ。

 …キョーコを落とすっ!!

 決意を固めた俺は、夢の舞台が『幼馴染の壊せない空気事件』(俺命名)直前であると気がついた。

 俺は神に感謝した。これはつまり、こう言うことですね? 神様。

 そんな空気ぶち壊せ、と。


 予定通り事務所で最上さんを捕まえ口説いてみるがスル―された。
 ラブミー部員である前世の彼女には脳みそが拒否して聞こえなかったのかもしれない。

 まぁ、可愛い笑顔を見ることが出来たのでよしとしよう。
 彼女の愛らしい顔に貼られた絆創膏を見て、改めて不破に殺意を抱きつつ最上さんと仕事場へと向かった。


 現場にはやはりヤツがいた。
 彼女が不破と連れ立ってスタジオを出る。

 不愉快だが仕方がない。夢の中とは言え仕事場でやり合うわけにもいかないしね。社さんに着替えに行くことを伝え、俺は二人を追った。



(Side:キョーコ)

 内心、あ~~はいはいわかったわかった、と適当に聞き流しながら、不破さんの『語り』を聞く。

 全く、私に愚痴ってんじゃないわよ。鬱陶しい男ね。
 前世は前世、今は今と(敦賀さんのこと以外は)割り切った時、幼馴染としてすら過ごさなかった私の不破さんへの感想はこんなものだ。

 思いつめた顔の不破さんが言う

「お前にケガさせるつもりなんて――――」

 あぁ、やっと終わる。そう思った時。

「はいはい。もうそんな毒にも薬にもならない用事で俺の可愛い後輩を連れ出さないでねー」

 突然現れた闖入者、いえ、きゅらきゅら全開の紳士様が、後ろから私の腰を抱いた。
 突然の敦賀セラピーに思わず恍惚となってしまう。
 ふぁぁ、幸せ~~v
 私が蕩け切っている間に、気がつけば不破さんはいなくなっていた。





 恍惚としていたキョーコは知らない。
 自分が呆けている間に、不破青年が似非紳士に(精神的に)フルボッコにされていたことなど。


 その日の敦賀氏は、大変爽やかな目覚めだったそうだ。


目次

パネェ敦賀氏は、幼馴染が壊せない空気を作りだしていようと気にしません。
かわいいキョーコの顔に傷を作るなんて許しません。
そんな空気はぶち壊します。


関連記事
web拍手 by FC2

comment

Secret

管理人のみ閲覧できます

2014.06.28.19:54

このコメントは管理人のみ閲覧できます
※サイト案内※
●当サイトにはスキビの考察および二次創作文が展示されています。それに伴い、展示物には性描写・暴力表現を含まれるものがあります。
●取り扱いカップリングは蓮×キョーコ、傾向は「両片想い」「ハッピーエンド」です。
●また、管理人は考察上、あるいは二次創作文中の設定上、登場人物に対し批判的、否定的な扱いをする場合があります。
●作中のあらゆる事項はフィクションであり、現実に即さないものが多く含まれます。
※性描写・暴力表現を含む作品は年齢制限を設けていますので、高校生含む18歳未満の方は閲覧しないでください。
最新記事
カテゴリ
絵 (1)
最新コメント
検索フォーム
カウンター
管理人
Author:常葉(トキワ)

どうぞごゆるりとお楽しみ下さいませ。
度々細かな変更はありますが、温かく見守って頂けると幸いです。

バナーとか作ってみたり。
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。