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再構築りれいしょん⑤-後

2011.04.30.06:00


ろけいしょん<後>

(Side:キョーコ)

優しい声、温かい体温。安心できる、気配がする。

「キョーコ、キョーコ。大丈夫だよ、傍にいる。俺が守るから、安心して眠って?」


広いベッドに、天蓋はない。

ここは元蓮の部屋で、今は蓮専用の客室だ。

最近キョーコはここで眠るのが日課になっていた。

ここ数年はすっかり形を潜めていた不眠症が、先日の一件以来再発してしまった。安らぎを求め、少しでも蓮の気配の残るこの部屋で過ごすようになって三日。薬を飲んで僅かばかりの睡眠を得る日々が続いている。

その僅かな眠りから目覚めると、そこには蓮がいた。

キョーコはほう、と息をつく。

12から13歳までの1年間そうしたように、隣で眠る蓮にすり寄る。

そこは相変わらず温かくて、いい匂いがして、ひどく安心した。

しかし、あれ?、と思う。

(何か、安心するのに、緊張する・・・どうして?)

チラッと顔を上げると、そこには秀麗な顔があって、顔に血が上った。

そんな気配に気がついたのだろうか。蓮の瞼がゆっくりと持ち上がり、キョーコを見た。

『どうしたの?』とでも言うように微笑む彼に、何でもないと首を振り、僅かに体を離した。

キョーコは唐突に気づいてしまったのだ。

まだ僅かに子供の面影を残していた嘗ての少年は、すっかり大人の男になってしまったのだと。

そうすると、引きずられるように17歳の自分までもが意識された。

まだまだ少女だけれど、それだけじゃない。12や13歳の頃と比べると圧倒的に『女性』になってしまったのだ。

体も、そして心も。






(Side:蓮)

俺の顔を見上げ、ほんの僅か離れた彼女の体を、引き寄せることは出来なかった。

暗闇の中、表情も、顔色も分からなかったけれど、その動きだけで自分が男として彼女に意識されたのだと気がついてしまったから。

と同時に、自分の心の中にあった、名前がつけられない靄の正体も分かってしまった。



今日、仕事を上がった直後に社長から連絡を受けた。

曰く『精神安定剤を投与するぞ』

これは数年前までは度々言われた言葉だ。キョーコが重い不眠に陥る毎に。

その言葉で俺は、やはり先日の不破との一件が彼女の精神に負荷をかけていたのだと悟った。

あの日、社長宅へ向かったあと、キョーコの気を紛らわすためにも敢えていつも通りの『勉強会』をした。

何とか体の強張りは解けたけれど、あの日、俺が専用のゲストルームに泊っている間も彼女は眠れていなかったのかもしれない。

神経過敏になりやすい彼女を気にして、寝顔を身に行かなかったことが悔まれた。



キョーコにとって俺は『男』を意識してもやっぱり『お兄ちゃん』で『親友』なのだろう。

昔とは違う距離で、それでも同じベッドの上で、彼女はいつしか眠りについていた。

俺を男として意識する彼女に、俺もまた気がついてしまったというのに。

自分がキョーコを『女』として意識している事に。


先日の一件以来、胸に蟠っているものがあった。

彼女を自身の所有物だと言う不破は、『男』として俺の、キョーコの前に立っているように思えた。

所有権の主張、相手が自分にとって、自分が相手にとって特別であることの誇示。

その行動には覚えがある。

キョーコと再会してしばらく、外との接触を少しずつ増やす彼女に、自然と俺は彼女を『キョーコちゃん』ではなく『キョーコ』と呼ぶようになった。

今の彼女にとっては初めて俺から呼び捨てにされた時、彼女は『嬉しい』と言って笑った。年上の俺を呼び捨てには出来ないから、俺に『キョーコ』と呼ばれるのが嬉しいと。

俺は、彼女以外の誰をも呼び捨てにしたりはしない。

彼女だけが俺の特別なのだと、そんな主張の込められた呼びかけだった。

『キョーコ』と呼ぶたびに、それに笑って答えてもらえるたびに、俺が彼女の特別になれた気がした。


『特別』の意味は、きっと彼女の王子様。


呼び捨てにしないでと言った、記憶を失う以前の彼女。その言葉に、訳のわからないもやもやを抱えたのを今でも覚えている。

俺にとって彼女は、そんなにも前から『女の子』だったんだ。

自分の感情の正体、それは『嫉妬』なのだと、ようやくピースをはめられた気がした。




同時に、社長から言われた『手を出すなよ』の言葉の意味にやっと思い至る。

『俺が彼女に手をあげるわけないじゃないですか』

ぽけらん、と社長にそう返してしまった過去を消し去りたい。

どうりで爆笑されるわけだ。








そして、安らかに眠るキョーコの横でもだえる敦賀氏。

敦賀氏もなんだかんだ言って天然だと思います。はい。



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Author:常葉(トキワ)

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