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再構築りれいしょん⑦-前

2011.05.04.11:37


注意:この記事には、婦女暴行に類する性的な暴力描写が含まれます。






ふぁうんでぃしょん(前)

(Side:蓮)

社長の屋敷、蓮専用の客室で、ベッドで眠るキョーコの傍に椅子を置きそこに浅く腰かけながら、蓮は一人黙考していた。

初めてキョーコに出会ってからの数日間のこと。記憶を失い、人を恐れ嫌悪するようになったキョーコに再会してからの今日までのこと。


(嘗て彼女の特別は不破で、俺は彼女を呼び捨てることすらできない『友達』だった。)

けれど、と思う。

(記憶を失った彼女の特別は俺だった。不破は酷い嫌悪の対象で、それは、何故なんだ?)

逆ならまだ分かることなのだ、と蓮は考える。

あの夏、最後の日に『住む世界が違う』と言って出ていった俺を彼女が嫌悪し、ずっと好きだった幼馴染を記憶を失ってもなお好きだと言うのなら、と。

記憶の混乱が起こったのだろうか。そうして、不破と俺に対する感情が入れ替わった?

(いや、違う)

蓮は首を振る。

再会したキョーコが、縋るように握りしめた青い石。その石の輝きが、希望となって蓮から悪い想像を退けた。

思考はなおも巡った。

彼女にとって、なぜ不破はあそこまでの嫌悪の対象となったのか。

記憶を失う前に何かあったのだろうか。それを切っ掛けに不破を嫌うようになり、心の支えを失って、記憶も忘れ去った?

(それも、違う)

また蓮は自身の考えを否定した。

楽屋に社長が迎えに来た時、気絶させていた不破が目を覚まし、狂ったように眠るキョーコに向かい喚き散らしていた。

社長の付き人に再びすぐ気絶させられていたけれど、不破はキョーコが『突然消えた』と言っていた。絶対ではないけれど、二人の間に何がしかの事件が起こっていたなら『突然』などとはならないのではないか?


そこで蓮はふと、以前演じた刑事ドラマを思い出した。

その中で起きる事件の一つに、被害者を殺害した犯人は、その社員をとても慕っている後輩で、周囲からのそう言った評判と様々の要因が重なり、事件解決を難航させるというものがあった。

にも拘らず、犯人の犯行動機は被害者への憎しみから来るものだった。それも、好いていたからこそ憎かったのではない。精神的に潔癖だった犯人は自分の中に人を憎む気持ちがあるのを認められずに、憎しみを好意へと反転させ、自身にもそう思い込ませていたのだ。

しかし、憎しみが積もりに積もった結果、その作用にも無理が生じ、衝動的に犯行に及んだと言う設定だった。


例えは悪いが、彼女もあのドラマの犯人と同じだったのではないか?

彼女の言動に、違和はなかったか?無理が生じていなかったか?

蓮は、夏の日の記憶を思い返す。

記憶を失う前の彼女が不破を語る時、その内容はいかに不破が凄いのかであって、自分に優しくしてくれるとか、彼女自身に向けられる不破の態度は含まれていなかった。

言ったとしても、それは不破の勝手な振る舞いを『自分が特別だから』と解釈し喜んでいる、と言うものだった。

(そうだ、それであの頃の俺はどうしてそんな奴を彼女の王子様にするのかと不満だったんだ。)

母親に付き離されて育った彼女が、自分自身に『いい子』であることを求めていたのだとしたら、誰かを憎んだり、嫌ったりする感情を自分自身で認められなかったとしてもおかしくはない。

その結果、感情の反転が起こったのだとしたら―――――

はぁ

短く息を吐く。

蓮はキョーコが、嘗ては慕っていた不破を嫌悪する理由が見えた気がしたところで、考えるのをやめた。

蓮自身にも分かっていた。今の自分の思考と言うものが、目の前の現実から意識を逸らすためのものでしかないと。

(結局俺は、キョーコが自分以外の男に触られた。それだけが気に障り、それだけを気にしてる)

下着は辛うじて付けていたし、医者も、『未遂』であることを診断した。

だがそれが何になると言うのだろうか。キョーコの肌を見て、触れただろう男への嫉妬に、蓮の心は滅茶苦茶に荒れていた。

(ちがう、違うんだ)

そうじゃない、と今までよりもずっと激しく首を振った。自身を責めるように、苛むように、蓮は両手で顔を覆う。

そんな事よりも、キョーコのことを心配しろと言う自分がいる。

どれほど恐ろしかったろう、どんなにか屈辱だったろう。

こんなにも彼女を守り、慈しみたい己が幻だとでも言うように、彼女が目を覚ませば酷い仕打ちをしそうな自分がいた。


誰も傷つけないと誓ったのに。

(本気で、人を殺したいと願ったのは初めてだ)


そんな本当の想いから目をそ向けたいがための、つまらない物思いだった。



キョーコが目を覚ました。









(Side:キョーコ)

「敦賀、さん?」

目を覚ました時、子供の頃のように心臓がじわじわと嫌なリズムを刻んで、ひどく不安だった。

けれど、見慣れた敦賀さんのベッドの上だとわかり、傍らに彼の気配を感じて安堵した。

しかし寝起きの目が室内の明るさに慣れ彼の姿を捉えると、私は起き上がってベッドに腰掛け、彼に呼びかけた。

泣いているのかと、思った。

彼は両手で顔を覆い、項垂れるようにベッドのそばに置かれた椅子に座っていた。

「おはよう、キョーコ。どこか痛い所はない?」

のろのろと顔を上げそう言った敦賀さんは、ひどく憔悴しているように見えた。

私は自分の事よりも敦賀さんが心配で、彼に手を伸ばそうとし、痛みにうめいた。

「痛、な―――」

何?

と言おうとして、気づく。腕には赤い痕と、僅かな擦過傷が、

「ひぅ」

「キョーコ!大丈夫、大丈夫だからっ」

叫び声を上げそうになった時、温かい体温に包まれた。それは紛うことない敦賀さんで、けれど――――

「いやっ!!」

私は抵抗した。とにかく離して欲しくて必死に押し返す。訳が分からなかったけれど、呼吸もできなくなるような記憶の波に、敦賀さんの姿が見えない、声が聞こえない。認識と理解と記憶と今と、全てが不ぞろいになる。

そのとき、体の感覚が押し倒されたことを告げた。

「~~~~~~~い、やだ、やめっやめてぇ・・・やぁ!」

目の前が真っ白で、感覚だけが頼りで、腕を脚を振り回す。覆いかぶさっていた気配が消えたことで、何がどうなっているかも分からず、気がつけば自分の部屋の扉の前で座り込んでいた。





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Author:常葉(トキワ)

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