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完璧な人生の歩み方~久遠は友達・久遠は友達・久遠はt(ry~

2011.04.19.22:26

(改)
注意:この記事には、不破家、及び旅館従業員、キョーコ母(冴菜)に対する否定的な内容が含まれます。




(Side:キョーコ)

キョーコには今生、蓮のこととは別にもう一つやりたい事があった。

(コーンの力になりたい。今度はたくさん話を聞いてあげたい)

前世――とは異なるのであろうが仮にそう呼んでいる――において、キョーコ自身が妖精の森と名付けた場所に彼女は来ていた。

(そんなことは建前で、本当は私がまた慰めて欲しいのかもしれないけど)

キョーコは孤独だった。
キョーコは現在6歳であり、その体に引きずられるように年相応な面も多い。
しかし、以前の――前世のキョーコは早世したとはいえ既に二十歳を超え、世の中のいろいろなものが見えるようになっていた。

それらは実生活を送るうえでは大きなアドバンテージとして働いたが、精神的な面では大きな負担となっていた。

キョーコには、子供相手と侮り隠す気もない大人たちの感情が悲しい程に読み解けてしまうのだ。心も体も完全な6歳であった時には、理由も分からずただ自分が悪いのだと思って納得するしかなかった嫌な空気。

それは仲居達の“居候”あるいは“厄介者”を見る視線だった。

母、冴菜は旅館にキョーコを“客”として預けていた。その上で養育費と言う名の多大な寄付を行っていた。
しかし、旅館の手伝いをするようになったためか仲居達はそれを誤認した。そもそも仲居達のほとんどは、宿代だけを出して子供の世話まで押し付けられていると考えているようだ。
“お金のために預かっている訳ではない”
その不破家のスタンスが、多額の養育費の存在を外に漏らさなかった。

結果として仲居達はキョーコを格下と見ていた。それはあるいは無意識のものであったのかもしれないし、プロの世界に入って来ては客に可愛がられる子供が本当に邪魔であったのかもしれない。しかし、そこには確かに負の感情があった。

本音の所在はともかく、それは幼い松太郎にも伝わり、彼は当然のようにそれを前提に接する。彼は顔のつくりが整っていることを除けば、ごく普通の子供だった。ごく普通の、残酷で、悪意のない子供だった。

だから前世のキョーコは松太郎に懐いた。松太郎はキョーコを下に見てはいたが、そこに悪意は一切なかった。ただ単純に、大人たちの気配を察してそういうものだと理解していた。

しかしそれは以前の生でのキョーコの話だ。それらが当り前のことだと思い込まされていた頃のキョーコだ。今なら分かった。それらはひと桁の年の子供相手にとる態度ではなかったと。

最上キョーコとして、ひとりの人間として、生きた記憶を持つキョーコにはそれが耐えられなかった。
理不尽な目にあっても、笑っていた自分。理不尽な状況下にあっても“自分が幸せになるために”どうすればいいかも分からなかった自分。
でも今は違う。過去と同じように、不破家に救いを求めることは出来なかったのだ。

だからキョーコは現在一人暮らしをしていた。

実際には小学生になりたての6歳児が一人暮らしなど出来はしない。正確には実母と暮らしているのだが、彼女は殆ど家にいないため、実質的には一人暮らしであった。

不破家にそうしていたように、母冴菜はキョーコにも当り前のように金を与えた。常に満点を取り続ける優秀な娘に…。

必要書類と金銭のやり取り。それが母と娘の全てだった。


「馬鹿! キョーコ、なに弱気になってるのっ?」

キョーコは河原の縁にしゃがみ込んで自分の顔を見た。そこにゆらゆら映る幼い少女の両頬をもみじのような小さな手でペチペチと打つ。

(決めたじゃない。最高で最強のトップ俳優になるって。敦賀さんにがちんこ勝負仕掛けられるくらいのいい女になるんだって!)

キョーコは母との関係を割り切れている訳ではなかった。それでも、譲りたくないものが出来たから、キョーコはそれでも進み続けると決めたのだ。死の間際によぎった、たった一人の男を目指して。
ただ、いつか母と分かりえる日を祈りながら。

水面に映る自分は、以前の6歳の時よりも可愛いのではないだろうか。キョーコは思った。

(今は、信じよう。私ならできるって言ってくれた、誰よりも輝けると信じてくれた人たちのことを。…もう、会えないけれど)

小さな変化が大きな変化を生む。それは蝶の羽ばたきが台風を作るように。
キョーコ自身が変わってしまったことで、キョーコを中心とした人々は必ず変化を強いられる。例えば母冴菜は、キョーコと暮らした時点で前回とは異なる経験を経たことになる。経験が変わればその後の経過も変化が生じる。

それは希望であり、喪失であった。
キョーコの可能性を信じてくれたのは、そこに至るまでの経験を経た彼らだ。しかしキョーコが変わってしまった以上、同じ経験をすることは不可能だ。その意味において、キョーコは前の生での人々とは永別してしまったのである。

しかしそれも仕方のないことだった。キョーコは一度、その生涯をとじたのだから。

「もう会えないと言いながら、あなたを求めるのは矛盾ですか? 敦賀さん…」

(それでも私は、あなたの魂ごと愛するから、だから、間違っているなんて言わないで)

水面に映り、ゆらゆら揺れる少女の顔は歪んで、まるで泣いているようだった。
キョーコの覚悟はとうに決まっている。ただほんの少し安らぎが欲しくなってしまっただけのこと。

(コーン、あなたに会いたい)

彼となら、何度だって友達になれると思うから。



ガサガサ

その時、音がした。草木を踏み分ける音が。
キョーコは息をのみながら振り向くが、逆光に目がくらんだ。


「君は、妖精?」

茂みから現れた少年は言った。

「初めまして、俺はクオン。可愛い妖精のお嬢さん、君の名前を教えてくれる?」

キョーコは再び息をのみ、応えた。

「…初めまして、私はキョーコって言うの。そう言うあなたこそ、妖精の王子様?」
「いいや、俺は人間だよ」
「私も人間なのよ?」

視線と視線を絡ませて、互いの顔を見つめあう。気が付けば二人はクスクスと笑いあっていた。まるで滑稽な芝居でも見た時のように。

(そっか、コーンは…クオンはやっぱり魔法が使えたんだ)

キョーコは今生でようやく、夏の妖精がかけた温かな魔法に気づけた。
泣いている少女の慰めに、妖精コーンと同じ姿をした、人間クオンがついた優しい嘘に。




気づけた、気づけたのだが……。

(え、この方、どなた?)

キョーコは今、クオンの膝の上にいた。そこでなにをしているのか?端的に言うと口説かれていた。

「キョーコは可愛いね。妖精のように可憐で、天使のように愛らしい。本当に君が人間でよかった」
「あ、ありがとう…?」

(天使のようなのは貴方ですからーーーーーーーーーーーーっ!!!!!)

キョーコが内心でそう叫ぶのも仕方がないだろう。

この世の全てを砂糖菓子にかえんとする甘ったるい顔。
ホストのごとき流れるように囁かれる台詞の数々。

(あの日の妖精は何処に…)

遠い目をするキョーコだったが、よくよく思い返してみると、コーンも相当甘いことを言っていたことに気づく。あの頃は“ショーちゃん”に夢中すぎて、無意識に口説き文句まがいの言葉はスルーされていたようだ。

「ちなみに、どうして私が人間でよかったの?」
「だって、天女はいずれ天に帰ってしまうって相場は決まっているから。この広い森の中で俺たちが出会えたのって運命だと思うんだ。せっかく運命の人と出会えたのにお別れなんて辛すぎるでしょう?」

(あっ!)

キョーコは思い出した。コーンは住む世界が違うと言って帰ってしまうのだ。クオンの激甘攻撃にたじろいでばかりいては、また居なくなってしまうかもしれない。
そう思いいたれば、受け身でなどいられなかった。

「私も! 私もクオンが妖精じゃなくてよかった!!」
「ほ、本当に!? そう思ってくれるの!?」
「うん! 私もクオンも人間だもの。また、何度だって会えるよね? お話しできるよね?」

(お願い、“うん”て言って!)










熱い。顔も、体も、クオンに触れられた全てが火傷をしたみたいだ。キョーコは思った。

「願えば、君と俺はいつだって繋がるよ。…どこにいたってね?」

(あ――神々スマイ、ル…?)

そう言ってふわりと微笑んだクオンの顔が、キョーコには蓮とダブって見えた。
しかし、だとしても。
キョーコの血流が速くなるのも、心臓がバクバクと騒ぐのも、全ては“敦賀蓮”を思い出したからである。
なぜなら、

(クオンは友達だものーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!)

であるからして、ときめいてなどいないのである。



目次

おまけの Side:クオン
「…初めまして、私はキョーコって言うの。そう言うあなたこそ、妖精の王子様?」
「いいや、俺は人間だよ」(“君の”王子様希望のね。引かれないように黙っておくけど)

が、全く自重できていないのであった。


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